中国政府、「華龍1号」を承認 輸出用設計として国内での実証計画 加速

中国の二大原子力事業者の広核集団有限公司(CGN)と核工業集団公司(CNNC)は22日、第3世代の技術特性を有する原子炉としてそれぞれが設計した「ACPR1000+」と「ACP1000」を融合させた「華龍1号」の全体設計が国家能源局と国家核安全局の審査会で承認されたと発表した。ウェスチングハウス社製AP1000を国産化した「CAP1400」とともに、中国が知的所有権を有する第3世代の輸出用・独自ブランド設計という位置付け。国内で早急に実証計画を開始するため、両社は同日、100万kW級の華龍1号技術の統合で協力促進協定に調印している。

両社がそれぞれ開発した100万kW級・第2世代改良型炉の「CPR」、および「CNP」と「CP」のシリーズはともに、仏国からの輸入技術をベースに、あるいは参考にして国産化が進められた。設計に類似点が多いことから、国家能源局の提案を受けて両社はこれらを第3世代に進展させた設計技術の一本化を開始。今年1月には華龍1号の初期設計が完成したとCGNが発表していた。

今回の両社の発表によると、華龍1号は安全性や経済性および成熟度の面で第3世代の技術要件を満たしており、機器の設計製造、運転・保守、その他の分野で743件の特許と104件のソフトウェア著作権がある。原子炉の研究開発と機器の設計製造、建設・運転などで30年以上にわたる両社の経験を基盤として、福島第一原発事故の教訓も全面的に反映。国際的に最も厳しい安全基準に適合しているとした。

また、炉心には177体の燃料集合体を装荷する。安全設計は動的および静的概念を組み合わせたもので、多重の安全システムや二重格納容器を採用するなど、多重防護の原則を包括的に採用。過酷事故の発生防止と影響緩和が図られると説明した。

華龍1号の審査会合では43名の学者と専門家のグループが、輸出に先立ち国内での実証炉計画を可能な限り早急に開始するよう政府に勧告。CGNとCNNCが準備作業を進めているところで、ACPRが建設予定と言われていたCGNの防城港3、4号機、ACPを建設するとCNNCが発表済みの福清5、6号機を華龍1号に変更すると見られている。

なお、AP1000を中心に外国の第3世代技術習得を進める国家核電技術公司(SNPTC)は昨年、AP1000を140万kWに拡大したCAP1400実証炉を14年中に山東省で「栄成石島湾原発」として着工すると明言。能源局が昨年10月に発表した原子炉輸出を国家戦略とする同国の方針は次第に加速度を増してきている。


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