環境リスク面で検証 学術会議が報告書 複合災害への備えで

日本学術会議は4日、「環境リスクの視点からの原発事故を伴った巨大広域災害発生時の備え」と題する報告書をまとめた。東日本大震災における複合災害について主に環境リスク(放射線被ばくに関しては、緊急作業者の被ばくを含む)の観点から検証し、過去の事例にはない多くの知見を収集。緊急時の環境リスク対策における政府・産業界・学術界及び国民の役割と課題を明らかにし、備えのために提言を行った。

報告書は、福島第一原子力発電所の事故による放射線被ばくとその健康影響評価、有害物質曝露測定とその評価体制などの現状と問題点を概観したうえで、(1)国・自治体と産業界・学術界は原子力災害による放射能汚染と環境影響評価・放射線被ばく健康影響の評価のための体制を整備しておく(2)国は平常時に有害物質曝露評価とリスク評価を行い、緊急時、迅速なモニタリングを行い、健康管理に対応出来るよう体制を整えておく(3)国や産業界・学術界は巨大災害時の災害廃棄物の質や量を推定し、適正処理やリサイクルを行えるよう想定される有害物質のリスク評価・管理の科学的知見を収集しておく(4)国や自治体と産業界・学術界はレギュラトリーサイエンスの考え方を普及させ、平常時や緊急時のリスクコミュニケーション及びクライシスコミュニケーションの体制を整える――の4点の提言を行った。


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