アルゼンチンが4基目建設計画で枠組契約 中国の投資受け、国内で設計

アルゼンチンの計画投資サービス省は3日、同国で4基目の原子炉となるアトーチャ原子力発電所3号機を建設するため、同国の国営原子力発電会社(NA―SA)が中国核工業集団公司(CNNC)と商業的枠組契約に調印したと発表した。カナダ製・加圧重水炉(CANDU)を改良した80万kW級の加圧重水炉(PHWR)を建設する計画を盛り込んでおり、CNNCから20億ドルの投資支援を受けつつNA―SAが設計・建設・運転を行う予定。来年初頭の数か月間に資金調達などを含めた12の詳細契約を締結可能とするため、5つの委員会を設置するとしている。

アトーチャ3号機増設計画について、計画投資省はこれまで、PWRの導入も視野に入れた入札の実施を示唆。第3世代プラスの中型PWRを開発したアトメア社を2012年に予備的な有資格企業に認定したほか、今年の7月上旬にはロシア型PWR(VVER)を採用した場合の法的枠組となるロシアとの新たな二国間原子力協力協定を締結するなどしていた。

今回、北京で調印された枠組契約は両国間の戦略的パートナーシップ強化が目的だとしており、7月下旬に中国の習近平国家主席とアルゼンチンのC.キルチネル大統領がブエノスアイレスで結んだ、4基目の原子炉建設協力に関する政府間協定を受けたもの。

アルゼンチンでは稼働中の原子炉2基および試運転中の1基すべてがCANDU炉を始めとするPHWR。そこで、4基目は中国で稼働する70万kW級の「CANDU6」である秦山V原発を「参照設計」とし、既存のアトーチャ原発敷地内で建設するとした。

同協定の下で中国側はCNNCの長期融資を通じて同計画で必要となる技術支援や機器・サービス、資材等をアルゼンチンに提供。20億ドル分が中国および第三国からの調達になる取り決めだ。NA―SAは同計画の所有者兼アーキテクト・エンジニアとして準備作業から設計、建設、起動、および運転までを自ら行うが、機器・サービスの38億ドル分はアルゼンチン企業に発注することになる。


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