バラカ3、4に建設許可 UAE:導入初号機の作業も順調アラブ首長国連邦(UAE)の連邦原子力規制庁(FANR)は15日、同連邦初の原子力発電所として1、2号機を建設中のバラカ原発サイトで3、4号機を増設する許可を首長国原子力会社(ENEC)に発給した。 サイトではすでに、FANRが今年2月に発給した両炉の制限付き建設許可に基づいてコンクリート打設前までの準備作業が進展中。ENECは今後、両炉の原子炉建屋部分のコンクリート打設に加えて、構築物と系統及び機器(SSC)の製造や使用、輸送、保有、貯蔵、組立、設置、点検・試験といった関連活動の実施が可能になる。 UAEはバラカ原発として出力140万kWの韓国製PWR(APR1400)を4基建設する予定。2012年7月に1号機が正式着工したのに続き、同2号機のコンクリート打設を昨年5月に実施した。1号機はすでに、建設作業の45%が完了。ENECでは15年にもこれら2基の運転許可をFANRに申請する計画で、11年に公表した日程どおり作業が進めば17年と18年に1、2号機、19年と20年に3、4号機がそれぞれ営業運転を開始する。 3、4号機の建設許可発給に際し、FANRとその他の技術専門家を含む200名のチームは18か月にわたって建設サイトや設計、安全分析、管理システムの適切さ、および建設工事や放射線安全対策、核物質防護、保障措置に関する品質保証など、安全性に係わるすべてのファクターを徹底的に審査。福島第一原発事故からの教訓も組み込んだほか、審査全般において国際原子力機関、および韓国の原子力規制当局と緊密に連携したと強調している。 原子力発電施設そのものの開発計画と並行して、ENECはUAEの原子力産業を将来的に支えていく優秀な人材の育成も着々と進めている。同じ15日にENECは、科学技術高等専門学校(IAT)が運営する政府系のアブダビ工科大学(ADPOLY)と原子力人材養成に関する協力覚書を締結。ENECが原子力分野に特化して組んだ奨学金プログラムで協働し、双方がこの目的のために進めてきた活動を統合・強化していくことになった。 ENECによると、UAEで急成長中の原子力産業界で次世代のリーダーを養成することは最優先項目の1つ。建設中のバラカ原発で4基が完成する2020年までに、ENECでは2500名以上の従業員が必要になると予測しており、このうち60%は首長国人とするのが目標だ。2012年から協力関係にあるADPOLYとの新たな覚書により、UAEの継続的な成長に重要な役割を果たす原子力産業の一翼を担えるよう、必要な訓練とチャンスを最も優秀で明晰な首長国人に提供していくことになる。 両者の協力は「原子力分野における高等職業訓練プログラム(HDNT)」の展開という形で3年前に始まっており、すでに17名の学生が同プログラムを修了。これまでに履修登録した学生数は合計で270名に及ぶ。同プログラムは理論教育と実地訓練を組み合わせたもので、UAEの原子力発電所で技術職を務めていく準備を進めることができる。 また、新しく開発した「実践的職業教育学士のための情報セキュリティ・エンジニアリング技術(ABISET)」プログラムは、サイバー・セキュリティや情報コミュニケーション・システムの保障分野でENECを導いていくITのプロを養成。バラカの施設を利用した専門家のためのオンザジョブ・トレーニングを提供する内容で、修了後は2017年の初号機完成を目指すENECチームの一員となる道が拓けるとしている。 お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |