メーカー選定で各国と協定へ 南アが改めて新設計画を説明

南アフリカ共和国のエネルギー省は1日、2008年の原子力政策と10年〜30年までの「統合資源計画(IRP)」に基づいて、同国政府が960万kWの原子力発電設備新設を含め、石炭、天然ガス、再生可能エネルギー等で構成されるエネルギー・ミックスに力を注いでいくとの方針を改めて発表した。

原子炉の新設計画は公平かつ競争原理に基づいたコスト効果の高い方法で進める考えで、今後、採用技術を選定するために様々な国と潜在的な協力枠組となる協定を結んでいくと強調。9月にロシアと協定を締結した際、J.ズマ大統領の独断によりロシア企業の受注が決定したかのような報道が広がったことから、こうした印象を払拭する狙いがあると見られている。

声明文によると、このようなエネルギー構成の目的は、エネルギー供給を保証するとともに温室効果ガスの排出量を抑え、高率の経済成長と雇用創出が約束された、より多くの投資家を惹き付けられる方向に南アを導くこと。このためズマ大統領は今年7月、大統領が議長を務める関係閣僚委員会であるエネルギー・セキュリティ小委員会を内閣に創設した。

今後公表する包括的な原子力新設計画を通じて、南アの工業化と原子力産業の再開発を進めるほか、熟練した人材の養成と技術移転も図る考え。中核となるのは一丸となって原子力技術を国産化していくプランで、将来的に世界の供給チェーンに輸出国として積極的に加わっていく。このため、国内の既存の原子力産業を最大限、この計画に参加させるとしており、新設に必要な資機材やサービス、専門的知見の多くを可能な限り国内で調達することになる。

エネルギー省が率いる南ア代表団は昨年11月から12月にかけて、新設計画で得られる可能性のある支援と経験について予備協議を行うため、原子炉メーカーを擁する様々な国を訪問。現在、政府間協定を結ぶ段階に入った。9月にはロスアトム社と原子力産業協力等に関する政府間協定を締結したが、既存の関係法に基づいて調達プロセスの準備段階を開始するため、今後も同様の協定をその他の国々と結んでいくと説明している。


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