新政権が脱原発政策を表明 スウェーデン

30年間続いた脱原子力政策を2011年初頭に撤回していたスウェーデンが、再び脱原子力路線に逆戻りする可能性が高まった。

9月14日の総選挙で与党・穏健党の得票率が23.2%に激減したことから、F.ラインフェルト首相は8年間続いた中道右派政権に幕を下ろした。社会民主労働党は第一党の地位を維持したものの、得票率が微増に留まったため、同党のS.ロベーン党首は緑の党と中道左派・連立政権の樹立を決めた。

両党は連立協議を経た1日にエネルギー政策に関する合意項目を公表しており、その中で「100%再生可能エネルギーによるエネルギー供給システムの構築を目指す」と明言。そのための具体的な施策として以下の点を明記した。すなわち、(1)長期的に持続可能なエネルギー政策を審議する独立の委員会を設置(2)そうした協議の中に、原子力を再生可能エネルギーとエネルギー効率化で代替するという政府見解を盛り込む(3)再生可能エネルギー開発を拡大し、2020年までに少なくとも300億kWhの発電を目標とする(4)原子力発電所の安全要件を一層厳しくするとともに、事業者からは一層多額の廃棄物処分基金を徴収する(5)国営原発事業者のバッテンフォール社は、既存炉を建て替える可能性について開始していた調査を停止し、再生可能エネルギーのシェアを拡大したエネルギー・システムの構築を牽引しなければならない――である。

同国では現在、総発電量の約40%を原子力で供給。脱原発達成の目標時期は合意項目中に明記していないが、2日付けで議会から首相就任を承認されたロベーン党首は「まず(脱原発に向けた)分析段階に入らねば」と述べた模様。一方、緑の党は4年以内に複数の原子炉閉鎖を希望すると述べたと伝えられている。


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