中国、インドの影響大 エネ研まとめアジアの展望 2040年までの分析

日本エネルギー経済研究所はこのほど、2040年までの中国とインドのエネルギー需要と気候変動問題について分析した「アジア/世界エネルギーアウトルック2014」を発表した。

それによると、現状のエネルギー需給や政策・技術導入が続くとする「レファレンスケース」で、世界の1次エネルギー消費は、12年の石油換算133億7100万トンから、40年には192億7600万トンへと44%増加し、化石燃料に大きく依存する世界の構図は変わらないとしている。このうち、エネルギー消費増の中心はアジアで、中でも、中国とインドの増分で世界全体の46%を占めるとして、今回調査では、両国の「低成長ケース」を想定し、世界に与える影響についても分析している。

また、40年までに、天然ガスは消費が急速に拡大し、石炭を抜いて石油に次ぐ第2のエネルギー源となり、風力、太陽光の発電設備容量はそれぞれ現状の3.5倍、6.4倍に拡大、原子力発電設備容量は13年の389GWから618GWに拡大し、発電電力量は4451T(10の12乗)Wh(総発電量の11%)に達するとの分析結果だ。

さらに、アジアの原子力発電設備容量については、「レファレンスケース」、「技術進展ケース」でそれぞれ、中国が13年の13GWから、132GW、195GWに、インドが同じく5GWから、46GW、89GWに急増する一方、日本では20GW、33GWと現在よりも縮小するとの見通しだ。

その上で、中国とインドの「低成長ケース」を想定した場合、中東・旧ソ連の石油・ガス純輸出を押し下げるとしており、天然ガスについては、40年までの純輸出増加分で最大3割が失われるものとみている。また、エネルギー起源のCO排出量も「レファレンスケース」と比べて、両国で最大7.4Gトン抑制されると分析するなど、中国とインドの経済成長鈍化を想定した場合の世界経済や地球環境に与える影響の大きさを示している。


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