原子力で5,800万kW開発 中国:2020年までのエネ開発目標

中国の内閣に相当する国務院は19日、2014年から20年までのエネルギー開発目標を設定した開発戦略行動計画を発表した。

大気汚染問題の深刻化という背景から、石炭の消費量削減を含め、クリーンで革新的かつ効率的で自給可能なエネルギー生産・消費システムの構築を目指す内容。原子力については20年までに大型PWRを中心とした5800万kWの設備容量開発を目標に掲げている。

国務院はエネルギーの供給保障は中国の近代化全般に関わる問題と認識しており、同行動計画の中でエネルギー開発における5つの戦略的タスクを特定した。すなわち、(1)「エネルギー自給能力の向上」=石炭のクリーンで効率的な開発利用や石油の国内生産量拡大、天然ガス開発を促進する(2)「エネルギー消費改革の推進」=エネルギー消費量の過度な増加を厳しく統制するなど、エネルギー効率の改善プログラムを実施する(3)「エネルギー供給構造の合理化」=石炭の消費割合を削減する一方、天然ガスの消費を拡大し、原子力発電の安全な開発と再生可能エネルギー開発を進める(4)「エネルギー関連の国際協力を拡大」=二国間、多国間のエネルギー協力を進め、世界地域別のエネルギー取引市場を構築する(5)「エネルギーの技術革新を推進」――だ。

「原子力発電の安全な開発」に関する項目では、国際的に最も厳しい安全基準を遵守するなど、安全性の確保を前提に、東海岸地域の原子炉新設をタイムリーに開始する。また、内陸部における建設の実行可能性調査を実施すると明記。ここでは特に、ウェスチングハウス社から導入したAP1000や、同設計を国産化・容量拡大したCAP1400などの大型PWR、高温ガス炉と高速炉の開発利用に集中する。

また、核燃料の再処理技術研究を実施するほか、原子力発電の基礎研究と安全技術の研究開発を積極的に推進するよう提唱。核燃料サイクル・システムの改良も実施すべきだとした。こうした活動を通じて、20年までに原子力設備を現在の1900万kWレベルから5800万kWまで拡大。建設中原発の容量もこの時点で3000万kW以上とする方針である。


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