女性の対話は「共感」から 原産協会シンポ 黒川伊保子氏が講演

原産協会は18日、女性の視点から、原子力の理解に向けたコミュニケーションのあり方を考える特別シンポジウムを開催した(本紙既報)。ここでは、パネルディスカッションに先立って行われた黒川伊保子氏(感性リサーチ代表取締役)による基調講演「感性コミュニケーション―脳が創り出す男女のミゾ」の概要を紹介したい。

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脳を「装置」として見立てると、男女の脳は、回路構成と信号特性が大きく違う。

まずは、男性の皆様、お家で奥様から、「今日、なんだか腰が痛くて」と言われたとする。そのとき、「医者に行ったのか」などと返したとすれば、女性にとって、こんなにも冷たいセリフはない。女友達同志ならば、ほぼ全員、「えー、腰が痛いの?」や、「それはつらいわね」など、相手の言葉の反復とか同情を返す。このように、女性の対話は「共感」から始まる。

ところで、男性と女性の脳の違いは、右脳と左脳をつなぐ「脳梁」が、女性の方が男性より約20%太いことに大きく起因している。脳内部の神経線維ネットワークを可視化してみると、女性脳では、右脳(感じる領域)と左脳(顕在意識と連結して言葉を紡ぐ領域)が密度濃く連携している様子がわかる。これが、おしゃべりによって潜在情報を収集し、何か事が起こったら何年分もの記憶を一気に脳裏に展開し動けるという女性脳の「臨機応変力」につながっているのだ。

女友達同士の話を思い出して欲しいが、女性は、「共感」が知的行為の核となっている。人の話を体験記憶とし情動の札(ふだ)を付けて脳の中にしまうということは、「共感」するからできるのだ。女性は、感じたことがすぐ言葉になる。結論から言うのではなく、一定量しゃべり「共感」してもらうことに意味があるといえる。

さて、ものの見方でも、まばらに空間全体を把握する男性脳、目の前をなめるように見る女性脳と、男女間で違いがある。家庭内で、冷蔵庫から頼んだものを探し出せず、賞味期限切れの食品を差し出す夫に妻が腹立つといったことは、外国でも同じようだ。

しかし、組織の中に男女脳が混在すれば、気付き、発想、ホスピタリティ、コミュニケーション、タフさの種類が増える。組織というのは、8割の「正しい方向に頑張っている個体」と、2割の「その仕組みの中でどうにもばらついてしまう個体」がいることで組織力の強さが生み出されているといわれている。この2割をフォローしていくには、「母性」がないといけない。特に、社会コミュニケーションの領域では、「母性」が大きく活躍する。また、女性は、先が見えないことに対して強い。これは子育てのために培われた力だろう。

この世には2つの脳がある。男女は違いを認め合えば最強の組み合わせとなる。どうか、男性社会は女性を受け入れて欲しい。

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原産協会は、ホームページ(http://www.jaif.or.jp/)をリニューアルしました。今回の特別シンポジウムについて、動画を掲載しています。


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