原子力など発電部門を分社化へ 独E・ON社

ドイツで4基の原子炉を操業するE・ON社は11月30日、原子力を含めた発電部門を分社化し、風力・太陽光といった再生可能エネルギーや、トルコと欧州市場における配電網の性能向上事業に特化していくとの新戦略を発表した。福島第一原発事故を契機にドイツ政府がエネルギー政策を再生エネにシフトさせて以来、同社の収益は悪化の一途を辿っていることから、異なる事業内容と目的により2つの企業に分離・独立させることが従業員の雇用を保障する最良の方法だと説明している。

この新戦略は取締役会が提案したもので、同日に開催された監査役会は満場一致でこれを承認。このほか、第4四半期の減損費用が市場環境の変化にともない45億ユーロにのぼる見通しであることや、スペイン資産の売却により新会社の財政的な柔軟性が向上すること、イタリアでの負の投資活動を評価中であることなどを確認した。

新会社としてスピンオフするのは原子力や火力などの発電事業に加えて、世界市場でのエネルギー取引、および北海における石油・ガス探査と生産などだ。天然ガスは特に、探査や生産、輸送、長期の販売契約、相当量の貯蔵容量といった盤石な体制により、新会社は将来的にも中心的な立場を維持していくとした。また、原子力を含む発電資産の解体・処分も新会社のバランス・シートで全面的にカバー。ライン=ルール地域に本社を置いて、約2万人の従業員を雇用するとしている。

株式の大部分は公開する予定で、E・ON社は来年にも法的手続きなどの準備作業を開始し、16年に新会社としての設立を完了する計画である。


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