福島特別セッションも 水化学国際会議 札幌市で開催

日本原子力学会は10月26〜31日、「原子力発電プラントの水化学に関する国際会議2014札幌(NPC)」を、札幌市内のホテルで開催した。

原子力発電所における化学管理は、燃料や構造材料の健全性を確保するとともに、定期検査などでの従業員の被ばく線量を低減するために欠かすことのできない重要な技術である。NPCは、1977年に英国・ボーンマスで開催されて以降、2、3年毎に開催され、今回は、東京、福井、柏崎に続き、日本で4回目の開催となり、28か国から約350名の参加があり、各国軽水炉の化学管理に関する経験や技術開発の状況などについて活発な意見交換がなされた。

今回会議は、冒頭、水化学の第一人者である石榑顕吉氏(東京大学名誉教授)が開会宣言に立ち、「世界に前例のない福島での事故に関する貴重な情報を発信することが日本の責務」として、プログラムに、福島第一原子力発電所の事故に関する特別セッションを設けた意義を述べたほか、有意義な討論を期待するとともに、海外からの参加者らに、「日本有数の美しい街である札幌の景観と日本の食を楽しんで欲しい」と呼びかけた。

基調講演では、欧米を代表して、それぞれEPRI、EDFから取組状況の報告があったほか、日本原子力学会・水化学部会長の東京大学・勝村庸介教授から、化学管理の状況や関連する活動について紹介があり、軽水炉の安全・安定運転における化学管理の重要性が再認識された。

また、福島第一原子力発電所事故に関する特別セッションが行われ、土井良治・資源エネルギー庁審議官などから、サイトの現状、廃止措置に向けた活動や汚染地域の除染の状況、中長期復旧計画について講演があった。さらに、軽水炉の安全・安定運転に向けた水化学技術、事故の教訓等に関する活発な意見交換を通じ、広く世界に情報の共有化が図られるなどした。

大会の最終日には、北海道電力泊発電所等へのテクニカルツアーが行われ、一行は、防潮堤工事の状況や、緊急時対策所、中央制御室など、安全性向上対策の現場を視察した。

今回、NPCで得られた成果は、今後の原子力発電所の一層の安全確保、信頼回復に反映されていくこととなる。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで