福島「新しいまち」整備を 原子力災害復興に向け 経済同友会が提言

経済同友会は11日、東日本大震災からの集中復興期間の最終年度に向け、原子力災害と津波被害の視点から具体的方策を掲げた提言を発表した。

原子力災害では、福島の復興を、「わが国の健全な発展の象徴」と位置付け、「原発周辺のまちづくり」、「風評被害の払拭」、「原子力損害賠償の方針明示」について、取り組むべき施策を述べている。

同友会の提言によると、避難指示区域の住民には「戻らない」という意向も多いことから、将来的に各市町村で個別にまちづくりを進めていくのは困難とみて、市町村の枠組みを超え、生活や生業に必要な一定の機能と社会インフラ機能を集約したコンパクトシティとして、「新しいまち」を整備することが望まれるとしている。

「新しいまち」については、既に一定の人口と産業基盤の集積があり、地域の核としての役割を担っている南相馬市といわき市をそれぞれ、浜通り地域の「北側、南側の核」と位置付けた上、両市内、または近接する場所に整備し、開発は、中心部に始まり、廃炉と除染の進捗状況を見据えながら、段階的に進めていくことを提案している。

風評対策については、廃炉・汚染水対策の着実な実施により、「風評の原因を除去することが何より重要」と述べた上で、政府に対し、放射線リスクに関する統一見解を明示し、福島県産品や観光地の安全性を情報発信すること、企業に対しては、地元食材の贈答品や社員食堂での活用などを通じて、積極的に支援に取り組むよう求めている。

さらに、原子力損害賠償については、営業損害と風評被害に関しては、最終的な賠償対象機関などの方針が明示されていないとして、事業者が将来設計を行えるよう、今後の方針を明示すべきとしている。

また、提言は結びに、原子力事故発生時、避難に際しての混乱が生じ、迅速かつ正確な情報提供がなされなかったことなどを指摘し、これらの事実を詳細に記録し、問題点を検証した上で、具体的な施策を準備しておくことが、今後の原子力発電所再稼働に対する周辺住民の安心にもつながるとも述べている。


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