海水中の銅の同位体比を精密測定 海洋機構など

海洋研究開発機構はこのほど京都大学と共同で、微量金属元素の化学分離手法(塩化ナトリウムをはじめとした塩類を効率的に除去し、微量重金属元素を高効率で迅速に回収する手法)を用いて、世界各地の海水中に溶存した銅の同位体比(Cu65/Cu63)の精密測定に成功した。またその結果、世界で初めて銅同位体比の鉛直分布と海水の年齢が非常によく相関していることを見出し、銅をはじめとする微量重金属元素の同位体が海洋循環メカニズムを紐解く重要な化学トレーサーとなり得る可能性を示唆する成果を得た。

約2000年かけて1周するとされる海洋深層水の大循環は、地球の熱収支に重要な役割を担っている。海洋深層水がどんな経路を辿って、どれくらいの時間をかけて循環しているかを知るには海水中の放射性炭素(C14)量を用いる手法が一般的だが、放射性炭素の半減期(約5730年)を利用した年代測定では数百万年単位の古い過去の海洋環境を辿ることはできず、これまで太古の海洋循環を知る術は多くはなかった。

今回の成果は、こうした状況に新たな道を開く可能性をもたらすもの、という。


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