被ばく線量の正確な評価に貢献 東北大学が実態調査

東北大学は12月24日、避難指示区域での実態調査により木造家屋の低減係数(住家内/外空間線量率比)の頻度分布を取得し、中央値が0.43であることを明らかにした。この値は国際原子力機関が示す数値0.4とほぼ同じだが、低減係数の頻度分布は係数が大きい方に広がっており、その原因として、住家の立地条件とセメン瓦の影響の2つあることを指摘した。

同大学院薬学研究科ラジオアイソトープ研究教育センターが3年にわたる実態調査の結果として得た成果。事故後の住民の被ばく線量を評価する際に、空間線量率を用いて外部被ばく線量の評価が行われるが、このとき、滞在時間が長い屋内の空間線量は住家外の空間線量に低減係数を乗じて求めるため、正確な被ばく線量の評価には適切な低減係数を用いることが特に重要になる。

これまで事故後の年間被ばく線量の推定にあたっては、国際原子力機関が示す、1階および2階建ての木造の家における低減係数0.4が用いられてきたが、これらが日本の木造家屋に適切な値であるかどうかの検証はされてはいなかった。同研究グループが実態調査で69軒の住宅を調べて得られた522個の結果から低減係数の頻度分布を取得し、中央値、四分位範囲が0.43(0.34〜0.53)であることを明らかにした。この研究は、事故後に行われた統一的手法による初めてのまとまった住家の実態調査によるものであり、事故後の住民の正確な被ばく線量評価に貢献することが期待される、としている。


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