「基本的考え方」の議論開始 原子力委員長 「日本の輝く未来に」と

原子力委員会は12月24日の会合で、今後の「基本的考え方」取りまとめに向けて、意見交換を行った。

岡芳明委員長は、原子力の将来について、日本の輝く未来に貢献し、国際的にリードする「ダントツプロジェクト/ダントツ研究開発」を目標に掲げるよう提案した。

その中で、福島第一原子力発電所事故収束に向けては、長期的にオンサイトと関連施設はどのような役割を果たすのかを考え、世界の英知を集めた事業・研究開発や人材育成についても考慮しつつ、合理的な汚染水対策およびトリチウムを含む水の処理処分や廃炉廃棄物などを含む廃炉ロードマップの遂行について議論したいとした。

また、国内外の環境変化を踏まえ、今後、中長期的に取り組むべき日本の原子力エネルギー利用の政策課題については、エネルギー基本計画、危機管理、防災・減災、原子力損害賠償制度、安全性向上・規制、高経年化対策、廃炉、放射性廃棄物、使用済燃料、平和利用――などを挙げた。

さらに、研究開発では、基礎基盤、インフラ整備、応用・実用化、放射線、量子ビーム、核融合、高速炉、第4世代炉等、改善活動などの項目について、これまでの成果と教訓をふまえ、役割や戦略について議論を深めることを求めた。

阿部信泰委員長代理は、長期的・戦略的視点で、技術上、気候変動上、安全保障上のヘッジ論も検討し、原子力発電コストや放射線の危険性、福島原子力発電所事故について再検証を行うことを提案した。また、より安全で効率的な拡散抵抗性の高い原子炉の研究開発促進や、「国民の目線で」をどう実行するかについても議論したいとした。

中西友子委員は、放射線の利用に関して、工業・医学・農業への利用や最先端研究の推進について、現状と将来へ向けた更なる活用の可能性の明確化を図りたいとし、放射性廃棄物については、国民全体の問題として議論を高めていく必要性について訴えるなどした。また、原子力・放射線の理解・意識の共有は、今後の原子力利用における最も重要な課題のひとつと捉え、憶測を廃し、可能な限り科学的な視点を基にした議論が必要だと述べた。


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