エネ経研 高コスト電源は経済損失 30年のエネ需給像分析

日本エネルギー経済研究所は16日、電源構成に着目した4つのシナリオに基づき、30年のエネルギー需給像に関する定量分析を発表した。

今回、設定したシナリオ(1)〜(4)は、いずれも30年の総発電電力量として近年の水準に相当する約1兆kWhを想定し、原子力発電については、シナリオ(1)が稼働なし(電源構成比率0%)、シナリオ(2)が40年運転(同15%程度)、シナリオ(3)、(4)が運転期間延長(同それぞれ25%程度、30%程度)となっている。

その他、再生可能エネルギー、火力の電源構成比率も設定し、エネルギー需給全般、経済、環境への影響について評価を行ったところ、発電関連コストが、シナリオ(1)〜(4)の順に、21.0円/kWh、19.0円/kWh、16.4円/kWh、14.8円/kWhとなった。電力価格の影響などにより、実質GDPは30年時点、シナリオ(1)とシナリオ(4)とで、最大10兆円の差が生じるとしており、高コスト電源への依存を強めるシナリオでは、経済への悪影響が顕著に表れるなどと分析している。

また、ゼロエミッション電源の再生可能エネルギーと原子力で、半分の電力を賄うシナリオ(3)、(4)では、エネルギー起源COが最小水準となると同時に、エネルギーセキュリティも最も確保されるとしている。

今回の分析では、将来のエネルギーミックスの選択に向けて、技術革新の速度や、物理的・社会的・政策的な制約などを踏まえた上で、実現可能性あるものを策定し、国際情勢も鑑みつつ、適宜見直しを行うべきなどと述べている。

今回の分析中、シナリオ(4)において、原子力発電設備容量は4500万kW、設備利用率は90%、総発電電力量は3530億kWhとなっている。


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