米印首脳、民生用原子力協力実施で合意 サプライヤーの賠償責任に上限

インドのN.モディ首相と米国のB.オバマ大統領は25日、インドのニューデリーで会談した後に共同記者会見を行い、2008年に米印原子力協定を締結して以降、具体的な進展がなかった両国間の民生用原子力協力を本格的な実行に移す見通しが立ったと明言した。10年にインドで成立した原子力損害賠償法はサプライヤーにも一定の賠償責任を盛り込んでおり、米国企業が原子炉を輸出する上でネックとなっていた。今回、そうした責任を限定する仕組みで両国は合意に達した模様。モディ首相は、米国製商業炉が早急にインドのエネルギー供給保証に貢献することへの期待を表明した。

モディ首相は会見のなかで、「民生用原子力協力合意はお互いへの新たな信頼がはっきり示された両国関係における最重要項目であり、新しい経済機会を生み出すとともに、クリーン・エネルギー開発のオプションを拡大する」と強調した。原子力協力を実行に移すために両国が昨年9月に設置した交渉グループは、その後の4か月間に3回の会合を実施。両国がこの問題を前進させるという目的意識を持って作業に当たった結果、二国間協定締結後6年が経過してようやく、インドの法制と国際的な法的義務、および戦術的・商業的な実行可能性に即した商業協力に向かって動き出したことを喜ばしく思うと述べた。

両首脳ともに解決策の詳細に関する言及は避けたが、現地の報道によると、現行の原賠法を覆すことに慎重なインド政府は原子力サプライヤーの全面的な免責という米国側の提案を一蹴する一方、事故時に事業者とサプライヤーを保護するため、数十億ルピーの政府系保険プールの設置に同意した模様。米国側も、インドに販売した核燃料が核兵器に転用されるのを防ぐ監視要請を取り下げたと伝えられている。

インドでは09年に内閣が西海岸グジャラート州のミティビルディをウェスチングハウス(WH)社製の100万kW級PWR6基用、東海岸のアンドラ・プラデシュ州コバダをGE日立社製の100万kW級BWR6基用に暫定指定。今回の両国首脳の声明を受けて、WH社は同サイトでのAP1000の建設支援で13年にインド原子力発電公社と初期作業協定に調印した事実に言及。インドの原子力市場は世界でも最大規模であり、同社としては世界で最も安全かつ高効率なAP1000を提供していきたいとの抱負を述べた。


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