水素管理能力の強化 指示 スイス規制当局が新要件

スイス連邦原子力安全検査局(ENSI)は21日、過酷事故時の安全性改善対策の1つとして、格納容器内で発生する水素の管理能力強化に関する新たな要件を国内で稼働する4サイト・5基の原子炉に義務付けると発表した。

ENSIによると、スイスではストレステスト結果からの勧告とは別に、旧規制ガイドラインに沿って、窒素による格納容器内の不活性化や燃焼器の設置など様々な水素対策を規定。過熱された燃料被覆管材と水の反応、あるいは水の放射線分解により発生する水素は酸素と反応して爆発するなど、防護シールドの健全性を著しく損なう可能性があるため、事業者達は確率論的安全分析の一部として、水素生成に関する調査を実施していた。

福島第一原発事故後は、ENSIが水素の格納容器外への放出などに関する新たな調査の実施を指示した。事業者が提出した報告書によると、ゲスゲン原発では追加の対策として、触媒の自動的な再結合反応により酸素と水素を水に戻す静的装置(PAR)の使用許可をENSIに申請済み。ライプシュタット原発でもPARの導入を計画中で、2016年3月末までに申請が行われる予定になっている。これら2原発でPARが設置されれば、国内5基すべてで静的な水素管理対策が取られることになるとENSIでは強調している。

また、ベツナウ原発に関してENSIは、既存の水素除去機能を強化すべきだと結論づけており、今年の12月31日までに水素管理の改善計画を提出させることになった。不活性化により格納容器内に酸素が存在しないミューレベルク原発については、ENSIは理論上、水素爆発は起こらないとした。しかし、事故時の防護対策は徹底的に分析すべきとの観点から、水素管理プランの一環として水素の計測方策を今年の6月末までに提出させる考えだ。


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