候補地 2エリアに絞る スイスの深地層処分場建設

スイスで放射性廃棄物の処分事業を担当する放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は1月30日、使用済み燃料など高レベル放射性廃棄物(HLW)と低中レベル廃棄物(L/ILW)両方の深地層処分場建設要件を最も満たした候補地として、チューリッヒ北東部とジュラ東部の2エリアに絞り込み、これらに対して立地選定プログラム・第3段階で予定されている詳細調査の実施を提案した。

スイスではHLWとL/ILWすべてを深地層処分する方針で、発電事業者と連邦政府は改正原子力法に従い、NAGRAを設立した。NAGRAは2008年に3段階で構成される立地選定プログラムを策定し、11年11月までの第1段階で6つの候補エリアを連邦政府に提案。現在の第2段階では候補地を高レベル用と低中レベル用で各2か所に絞り込むため、スイス連邦原子力安全検査局(ENSI)の定めた安全要件に沿って、各エリアの安全性を純粋に科学技術的な基準で詳細に比較していた。

NAGRAによると、今回提案した2エリアは廃棄物の安全な閉じ込めに適した不浸透性の岩盤が適切な深さに存在。浸食から防護されているため、長期的な安定性が見込めるとともに、十分な大きさもあるとした。

提案書は昨年12月末にすでに連邦政府エネルギー庁(SFOE)に提出済みで、現在、ENSIが審査を行っているところ。連邦政府はこの提案をベースに、17年にも第2段階における最終判断を下す予定だ。6エリアのうち残りの4エリアは、安全上明確な欠点が認められなかったことから、予備地点として温存されることになる。


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