2016年度予算要求にコメント 米NEI

米エネルギー省(DOE)は2日、今年の10月から始まる2016会計年度予算の要求額に関する詳細を公表したが、米原子力エネルギー協会(NEI)は原子力関係予算のうち原子力規制委員会(NRC)への予算権限配分においては、同委に一層の効率性を要求するなどの改善を議会に求めている。

DOE全体の要求額が約300億ドルと現行予算を9.2%上回るなか、原子力関係予算は9億750万ドルと0.6%減。NEIの発表ではNRCが要求した予算権限は10億3000万ドルで現行予算から1.7%増加した。NRCは独立の立場を有する連邦機関であるため、運営予算の9割は許認可手続きにおける手数料で賄われるが、これらは一旦、財務省に振り込まれ、議会がNRC予算として承認して初めてNRCの回収が可能となる。

NEIのA.フリント政府関係問題担当・上級副理事長によると、「国内原発が盤石な安全運転実績を残していることや、2〜3の事業者による新設計画が依然として電力需要に対する不況影響に左右されていることを考えると、NRCの監督業務は厳重に精査する必要がある」。同氏は、60もの制定規則を含め、累積していく規制要件の影響を軽減するのがNEIとしての最優先事項とした上で、産業界の第1目標は産業界の資源と規制側の資源が安全確保のための活動に集中するよう保証することだと断言。NRCが10年間にわたって課してきた作業負荷により、この優先事項が脅かされているとした。

このため、NRCに対して「良い規制」という原則の遵守を強く要求するよう議会に促しており、そうしてこそ原子力施設は、信頼性のあるクリーンな電力の供給という顧客ニーズに最も安全かつ効率的に応えることが出来ると訴えた。

NEIはこのほか、官民のコスト折半による小型モジュール炉(SMR)開発用に継続して6250万ドル、使用済み燃料の輸送準備や地元の合意ベースで高レベル廃棄物管理施設を1つ以上建設するために1億800万ドルが計上されたこと、さらにサウスカロライナ州のMOX燃料製造工場建設に3億4500万ドルが要求されたことを歓迎。一方、例年約500万ドルが計上される大学の原子力プログラム予算がそっくり削られた点や、ユッカマウンテン深地層処分場計画を進める予算が含まれない点には不満の意を表明している。


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