市民「原発から撤退」と伴氏主張 原子力委 基本的考え方でヒアリング

原子力委員会は13日、基本的考え方の策定に向け、原子力資料情報室の伴英幸氏からヒアリングを行った。

伴氏は、原子力委員会の信頼回復のためにも、福島原発事故を受けて多くの市民が原発からの撤退を願うようになったことに沿って、基本的考え方を整理していくべきことを第一に述べた。

その上で、事故対応の政策的方向としては、個々の被災者に寄り添った対応をすることが大切だと主張し、帰還を希望しない避難者へも仕事や生活を支援するほか、住民に被ばくによるリスクをきちんと伝えることなどが重要だとした。

さらに、事故処理に関しては、既存技術を優先して採用するべきで、国費を投入する実証されていない技術で東電救済を優先すべきではないとも述べた。

再処理・プルトニウム利用については、余剰プルトニウムを持たない国際公約を敢然と果たし、机上の計画でよしとする従来の姿勢からより厳しく踏み出すべきと強調。再処理に関しては、米国側は日本が放棄することを望んでいるとする書物をあげたほか、今後、電力システム改革が進む中で、経済的デメリットから、電力10社が維持することは困難との考えを述べた上で、撤退へ向け、日本原燃の整理、再処理積立金処理、立地自治体への影響緩和などの諸課題について整理を進めるべきだとした。

また、「もんじゅ」については、政策的位置づけが廃棄物の減容化・有害度低減の実用化へと変わったが、成果が期待できないとして、中止した上で、改めて高速炉開発存続の是非を問い直すべきだとした。

放射性廃棄物の処理・処分問題については、日本学術会議の提言通り、処分量の上限を確定することが処分地選定の前提になるとの考えを示した上で、地層処分以外に、長期暫定保管や使用済み燃料の直接処分も選択肢として扱っていくべきとした。今後の対応にあたっては、原子力委員会は原子力の推進機関でないことを明瞭に示し、相当の覚悟と組織的充実を持たないと信頼は得られず、処分地選定問題は暗礁に乗り上げることになるなどと警告した。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで