米大統領、政府施設の温室効果ガス削減で指令 SMR活用の可能性も明示

米国のB.オバマ大統領は19日、今後10年間の温室効果ガス(GHG)削減対策において連邦政府が継続的に率先して取り組むことを目的とする大統領令に署名した。2025年までに連邦政府機関が直接排出するGHGを2008年レベルから少なくとも40%削減するほか、再生可能エネルギーによる発電電力で政府機関の電力需要の3割を賄うという目標値を設定。実行可能であれば、小型モジュール炉(SMR)のエネルギーを再生可能熱源とともに「代替エネルギー」の1つとして活用すると明言しており、SMR開発に対する政府のさらなる支援が期待されている。

大統領令は議会の承認を経ずに直接連邦政府の省庁や軍に対して発令され、法律と同等の効力を有している。同令の中で大統領はまず政策背景を説明し、米国の繁栄や後世の国民の健康と環境を維持していけるよう、連邦政府機関が率先してクリーン・エネルギー経済の構築に取り組んでいる点に言及。エネルギー効率の強化と環境パフォーマンスの改善を実行する際の優先策として、再生可能エネルギーと代替エネルギーというソリューションに行き着いたとした。その上で、各省庁のトップに対し、90日以内にそれぞれのGHG削減目標を環境諮問委員会(CEQ)と行政管理予算局(OMB)に提案するよう指示。それらはCEQとOMBの審査と承認を受けることになる。

次に、再生可能エネルギーと代替エネルギーという2種類のクリーン・エネルギーが、政府機関で使用する電力・熱エネルギーの総量に占める最小限の割合を2016会計年度から始まる2年毎に設定。それらは17年までは少なくとも10%、19年まで13%、21年まで16%、23年まで20%、25年以降は25%となっている。また、再生可能エネルギーが政府機関の総消費電力量に占める割合も同様に設定。25年以降は最低30%というのが定められた。

ここで言及した代替エネルギー源としては再生可能熱源に加え、複数のエネルギー技術を特定。SMRによるエネルギー利用のほかに、燃料電池や電熱併給プロセス、二酸化炭素の回収・貯蔵(CCS)などを含めている。

オバマ政権下の米エネルギー省は、産業界とのコスト折半で出力30万kW以下のSMR設計2件を6年間で商業化支援する4億5200万ドルの計画を12年に公表。13年末までにバブコック&ウィルコックス社の「mPower」とニュースケール社のSMR設計を支援対象に選択済みだ。


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