昨年の排出量増加停止 IEAの温室効果ガス報告国際エネルギー機関(IEA)は13日、同機関が収集した暫定的な温室効果ガス排出データから、昨年1年間に世界全体のエネルギー部門の排出量が過去40年間で初めて、経済不況と無関係に増加が停止したことが判明したと発表した。 次期事務局長に内定しているF.ビロル首席エコノミストは、「我々が直面する最大の脅威である気候変動を人類が力を合わせて食い止められるという希望が一層沸いてきた」とコメント。12月のパリCOP21で策定する意欲的な対策枠組の準備交渉で、切望されていた推進力がもたらされたと指摘している。 IEAの暫定データによると、2014年のエネルギー部門のCO2排出量は世界全体で323億トンと13年と同じレベルだった。温暖化防止のための努力が、考えられていたより一層顕著な効果を及ぼしたとIEAでは推測。排出量の増加が止まった主な原因として、中国とOECD諸国におけるエネルギー消費パターンの変化を挙げた。 中国では2014年に再生可能エネルギーによる発電量が大幅に増加したが、石炭火力は減少。一方のOECD諸国では、エネルギー効率の改善と再生可能エネルギーの増強といった持続可能な経済成長を促進するための努力が、経済成長から温室効果ガスの排出を切り離す効果を生み出したとしている。 IEAがCO2排出量のデータを収集した40年間に排出量が現状レベルに留まった、あるいは前年より低下したのは80年代初頭と92年、および2009年の3回だけだが、いずれも世界的な経済不況が関係していた。これに対して、2014年は世界経済が3%拡大しており、非常に励みとなる傾向だとIEAは強調している。 同データの詳細と分析結果は、IEAが6月にロンドンで刊行するエネルギーと気候に関する特別報告書に盛り込まれる予定である。 お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |