除染作業員の被ばくを防ぐ技術など展示 Radiex2015
環境新聞社主催の環境放射能対策・廃棄物処理国際展「Radiex2015」が7月15日から17日まで、東京の科学技術館で開催され、7,098名が来場した。2011年の開催より第4回目を迎える同展には、国内外から89の企業や団体が出展し、測定/分析・除染、中間貯蔵施設や減容化施設の建設、インフラ復旧、安全基盤の強化研究など、困難な課題の解決に取り組んでいくための多様な技術が100小間で展示された。遠隔伐採システム「キッタロー君」などを展示していた伊勢卓矢・鹿島建設機械部機械技術センター情報化施工グループ課長は、「木に囲まれた森林の除染を行うには、地面からだけでなく上からも横からも放射線を浴びる可能性があるが、無人化・自動化の技術を利用することで作業員の被ばくを低減できる」と同システムの操作を実演しながら説明した。
ポータブルポータルモニター「AM-801」を紹介していた中川貴司・テクノヒルMirion放射線機器部門テクニカルディレクターは、「従来の汚染検知用ゲートモニターは価格も高く重量があり設置が困難だったが、このモニターは約50kgと持ち運びが可能で10分あれば設置できる」と自信を見せた。
約130機関が会員となっている福島県廃炉・ロボット技術研究会のブースで、人間型2足動歩行ロボット技術を応用した重量物運搬ロボット「がんばっぺ1号」プロトタイプを展示していた松井年正・会川鉄工顧問は、「重量のある貨物を積載していてもがれきの上を横転せず進み、線量の高いところへ効率的に運搬することができる」とシミュレーションして見せた。
会場では、国や研究機関、企業などの取り組みについて講演する「中間貯蔵と廃炉へ向けた環境放射能対策」フォーラムも併催された。会期最終日の17日には、福島県の環境回復についての説明が行われ、三浦俊二・福島県生活環境部除染対策課副課長は、除染推進に向けた福島県の取組を紹介。2016年度末までの除染目標に向け、除染業務講習会の開催や除染ハンドブックの作成など事業者等の育成や、面的除染モデル事業や除染技術実証事業など技術的支援の強化、地域対話フォーラムの開催や除染情報視覚化事業など住民理解促進等の例を挙げ、現場の状況に合わせたきめ細かい支援を行っていることを示した。また、放射線量については2015年3月の時点で、福島市は震災当初の2.74マイクロSv(シーベルト)/時から0.23マイクロSv/時へ、会津若松市は同0.24マイクロSv/時から0.06マイクロSv/時へ、いわき市は0.66マイクロSv/時から0.07マイクロSv/時と下がってきているデータを紹介した。
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