加ブルース・パワー社:ブルース3~8号機の運転期間延長で2020年から長期改修へ

2015年12月8日

ブルース原子力発電所はA発電所(1~4号機)と、B発電所(3~8号機)の合計8基で構成されている©BP社

ブルース原子力発電所はA発電所(1~4号機)と、B発電所(3~8号機)の合計8基で構成されている
©BP社

 カナダ・オンタリオ州でブルース原子力発電所を運転するブルース・パワー(BP)社は12月3日、原子力発電サイトとしては世界最大級の同発電所(90万kW級加圧重水炉8基)で長期的に630万kWの原子力発電設備をベースロード電源として確保していくため、同州の電力卸売市場運営機関(IESO)との契約文書を修正したと発表した。3号機から8号機まで合計6基の原子炉で長期間の改修工事実施を目的とした運転期間の延長を、合計130億カナダドル(約1兆2,000億円)という複数年の投資プログラムを通じて実施するという内容。修正契約は2016年1月1日に発効予定で、2020年から6号機の改修作業に入る。改修日程を合理化することで、同州は既存の原子力発電設備を最大限に有効活用していく考えだ。

 ブルース発電所はオンタリオ州営電力会社(OPG)の所有資産であり、その運転は官民協働パートナーシップ会社であるBP社が行っている。BP社は2005年に州政府と締結した「ブルース・パワー改修実施契約(BPRIA)」に基づき同発電所1、2号機の改修工事を実施しており、両炉はどちらも2012年に戦列に復帰。同州はこの2年後に州内の石炭火力発電所を全廃し、戦略として進めてきた原子力と再生可能エネルギーによる供給エネルギーのクリーン化に成功した。今回の契約修正は、州政府が2013年に取りまとめた長期エネルギー計画(LTEP)に即して、BP社が今後数十年にわたり、クリーンで信頼性が高く価格も手ごろな電源について、徐々に増加する一連の運転期間延長投資を、改修工事も含め円滑に進められるよう手配するためのもの。BP社は原子力で州内の電力需要の3割を低価格で賄っており、ブルース3~8号機の運転期間延長活動に早急に投資を始めることで、同サイトの操業期間を合理化し、多くの納税者に恩恵をもたらすことができると強調している。

 修正された主な契約内容は以下の通り。
●2016年1月1日から、BP社は同発電所の全設備容量から65.73カナダドル(5,992円)/MWhを単一価格として受領する。これは現在IESOからBP社に支払われている価格64.90ドル(5,917円)/MWhと、州内居住者向けの今年1月~9月までの平均電力価格98.90ドル(9,018円)/MWhとの比較により算出した。

●BP社が自らの資金で投資する6基分の改修コストを約80億カナダドル(約7,300億円)と見積もったのに加え、運転期間延長を目的とした2016年~2053年までの活動に要するその他の諸経費は約50億ドル(約4,560億円)とした。短期的には、2016年から2020年までの期間、BP社は同計画の一部として約23億ドル(約2,100億円)を投資することになる。

●改修工事により各ユニットの運転期間は30~35年間延長される一方、その他の運転期間延長投資により、改修前の各ユニットにおける総合的な追加の運転期間は30炉・年となる。

●BP社はこれらのプロジェクトを日程どおり予算内で遂行する際の全リスクを負う。これらの改修価格は各プロジェクトに先立ち、本契約で定義された透明性のある手続きを通じて最終決定される。

●脱石炭火力の達成後もオンタリオ州が恒久的に電力システムのバランスを取れるよう、BP社は引き続き、柔軟性のある発電用に、ブルース発電所設備の約3分の1にあたる240万kWを提供していく。