米ニュースケール社製SMR:英国立研の調査でMOX燃料が利用可能と確証
米国のニュースケール社は1月20日、同社が開発中の小型モジュール炉(SMR)「パワー・モジュール」について、英国国立原子力研究所(NNL)の依頼により実施した調査の結果、余剰プルトニウムをMOX燃料として効果的に処分する適性のあることが確証されたと発表した。
英国には原子力の民生利用から排出された余剰プルトニウムが100トン以上保管されており、英国政府はMOX燃料への転換・再利用が望ましいとする一方、2012年6月にはGE日立ニュークリア・エナジー社製「PRISM高速炉」とCANDUエナジー社製「改良型CANDU6(EC6)」で燃焼する提案についても検討評価中だと発表していた。ニュースケール社は米エネルギー省(DOE)とのコスト折半開発プログラムを通じて、米国で同SMRの設計認証取得と初号機建設を目指す一方、2015年10月にSMRで英国の原子力市場に参入する意志も表明。同社のJ.ホプキンズCEOは、様々な燃料で運転が可能という今回の調査結果により、世界中の市場で商業化が見込める技術選択肢としてSMR開発を継続できるとの抱負を述べた。NNLのD.メーザーズ担当リーダーも、プルトニウムを低炭素発電に再利用できれば、英国の廃棄物処分を前進させる上で役に立つとの見解を表明している。
ニュースケール社のSMRは固有の安全性を有する電気出力5万kWの一体型PWRで、工場で予め組み立てた後にサイトまで陸路や海路での輸送が可能。12基連結することにより、出力も最大60万kWまで拡大することができる。NNLによる今回の調査では、MOX燃料を部分的、あるいは全面的にSMR炉心に装荷するという複数のシナリオを評価。MOX燃料を使用しても同炉の設計や運転には最小限の影響しか及ばないことが確認できたという。また、フルMOX炉心で12基連結すれば、約40年間で蓄積されるプルトニウム100トンが燃焼可能であることを実証。この間に低炭素電力を2,000億kWh発電することもできる。従来の軽水炉用燃料とMOX燃料、どちらの装荷能力も有する「パワー・モジュール」は、革新的かつ柔軟性のある原子炉技術だと同社は強調している。