フランス:最終処分場建設予定地近郊の地下研究所で崩落事故

2016年1月27日

四角い赤線エリア(30平方km)内のいずれかでCIGEOの地下施設を展開予定©ANDRA

四角い赤線エリア(30平方km)内のいずれかでCIGEOの地下施設を展開予定©ANDRA

 フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は1月26日、高レベル放射性廃棄物(HLW)最終処分場の建設予定エリア近郊にある地下研究所で崩落事故が発生し、作業員1名が死亡したことを明らかにした。同研究所はフランス東部のムーズ県とオートマルヌ県にまたがるビュール地区に位置し、放射性廃棄物を地下500mの深地層に長期管理する「CIGEO」の設計に必要な様々な試験研究をCIGEOと同じ粘土層に掘った坑道で行っているが、ANDRAは同研究所に放射性廃棄物が持ち込まれることは一切ないと強調している。

 今回の事故は、同日の午後12時20分頃、同研究所の試験用通路で下請作業員が掘削工事と、天盤や側壁の脱落防止用ボルトの打ち込み作業中に通路の先端部が崩落したもので、死亡した1名のほかに1名が軽傷を負い、ショック状態になったもう1名が局所的外科手術を受けた。ANDRAでは現在、事故原因を分析調査中だが、地元ムーズ県の検察官が監督する調査作業もまた、事故時の状況を正確に把握するため開始されたと説明している。

 CIGEOでは、1万立方メートルのHLWと7万立方メートルの長寿命・中レベル放射性廃棄物を少なくとも100年間、回収可能な状態で貯蔵することが計画されており、ムーズ県側のビュール地区を含む30平方km圏内での建設が2010年に決定した。建設と操業にかかる標準コストは1月15日にエコロジー・持続可能開発・エネルギー省が250億ユーロ(約3兆2,000億円)に改定したばかりで、これは廃棄物を発生するフランス電力(EDF)とアレバ社、および仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)が負担予定。廃棄物処分の実施主体であるANDRAでは、2020年代後半に操業試験を実施し2030年代に事業許可を取得できるよう、2018年の許可申請を目指すとしている。