米国:暴風雪来襲時に商業炉99基中94基で約100%の設備利用率
米国では1月22日から25日にかけて東海岸各州が記録的な暴風雪「ジョナス」に見舞われ、少なくとも30名が死亡したほか交通機関が麻痺するなど深刻な被害がもたらされたが、この間に全米の商業炉99基中94基が100%近い設備利用率で稼働しており、盤石な状態で東海岸地域に電力を供給し続けていたことが明らかになった。米原子力エネルギー協会(NEI)が1月28日に発表したもので、原子力産業界がこれまで主張してきた原子力の価値、特に極端な悪天候時に発揮する価値が強く裏付けられたと強調している。
NEIは米原子力規制委員会(NRC)が取りまとめている各原子炉の運転状況報告を参照した上で、ジョナスの猛威がピークに達した22日と23日に商業炉99基のうち94基で設備利用率が90%以上に達していたほか、87基はフル出力で運転中だったと指摘。東部各州で大掛かりな復旧作業が始まった24日でも、85基がフル出力で稼働していたとした。25日までの4日間に利用率約100%の原子力発電設備から恩恵を受けた東部沿岸州として、NEIは具体的に、ニュージャージー州(ホープクリーク、オイスタークリーク、セーレムの各原子力発電所)、ペンシルベニア州(ビーバーバレー、リメリック、ピーチボトム、サスケハナ、TMI)、サウスカロライナ州(カトーバ、ロビンソン、サマー)、バージニア州(ノースアナ、サリー)、ノースカロライナ州(ブラウンズウィック、マクガイヤー、シアロンハリス)を列挙。ニューヨーク州知事が運転の継続に反対しているインディアンポイント発電所の2基もまた、100%で稼働していた事実を明らかにした。
一方、メリーランド州のカルバートクリフス1号機については、唯一、暴風雪によりオフラインになったことを認めた。事業者のエクセロン社によると、強風と積雪により同炉の開閉所と高圧電線の接続が遮断され、修理のため同炉を停止する必要に迫られたが、2号機の方は発電を継続。その後1号機は運転に復帰し、28日現在は利用率96%で稼働中となっている。なお、コネチカット州のミルストン3号機は25日の早朝に原子炉冷却ポンプの問題により停止したが、事業者のドミニオン社は暴風雪が原因ではないと説明している。
こうした状況についてNEIのS.ピーターソン上級副理事長は、「2年前に極渦による大寒波が北米を襲った時もそうだったが、今回の暴風雪もまた、原子力発電所が悪天候に影響され難いことを実証した」とコメント。1年前に全米の原子炉における2014年1年間の平均設備利用率が速報値で91.9%に達している原子力がその信頼性を着実に向上させており、今後も米国の多様な電源ミックスの中でその価値を証明し続けるだろうと指摘した。