フランス:規制当局の権限拡大など、原子力安全で新たな政令を公布

2016年2月15日

 フランスの原子力安全規制当局(ASN)は2月11日、安全規制に関する新たな政令を政府が同日付の官報に掲載したと発表した。同政令には、原子力施設におけるASNの監督効率の強化や重大な違反を犯した事業者に対する処罰権限が盛り込まれるなど、2015年夏に成立したエネルギー移行法を具体的に実行するための条件が特定されており、同法を原子力安全規制に反映させる作業は今後数か月にわたって継続される見通し。官報での掲載により、今回の政令は正式に発効したことになる。

 「グリーン成長のためのエネルギー移行法(TECV)」では、F.オランド大統領が大統領選挙時に公約として掲げた「原子力の発電シェアを2025年までに50%に削減する」ほか、再生可能エネルギーの利用拡大のため原子力発電設備を現状レベルの6,320万kWに制限。また、国民への原子力情報開示と原子力発電所における安全性の強化もポイントとなっており、これらの項目はASNによる管理原則としてTECVに明記されていた。これらを継続的に改善していく法的基盤の構築方針は、2006年6月に成立した原子力の透明性と安全性に関する法律(TSN)ですでに決っていたことから、TSN発布後、約10年を経てようやく、具体化策が制定されたとしている。

 今回の政令により、ASNは原子力施設で働く下請事業者の安全関連活動についても監督できることになったほか、重大な安全規制違反に対して金融制裁を科すことが可能。その違反が長期にわたり是正に広範な作業を要するものであれば、日割りで罰金を科すこともできる。また、原子力産業の透明性を拡大するため、地元の情報公開委員会を拡充し、設備の最新化や廃止措置の監督といった原子力施設の基本的な規制枠組を強化すると明記。運転開始後35年が経過した原子炉に対して、運転継続を承認する特別手続も盛り込まれたとしている。