米国と韓国:原子力協定に基づく二国間のハイレベル委員会発足

2016年3月7日

©DOE

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 米エネルギー省(DOE)は3月3日、原子力の平和利用に関する米韓両国の原子力協力協定に基づき、ハイレベルの二国間委員会(HLBC)を起ち上げたと発表した。2015年6月に改定した同協定の合意内容に従い、原子炉や大型機器の輸出国となった韓国で使用済み燃料の再処理やウラン濃縮に道筋が開かれるよう、両国間の原子力平和利用協力で次官級の戦略的協議と技術交換を行うためのもの。第1回会合は4月14日にソウルで開催されることになった。

 今回の発表は、DOEのE.シャーウッドランダル副長官(=写真・右から3人目)と韓国外務省の趙太庸・第一次官(=写真・DOE副長官の正面)が米ワシントンDCでの協議後に行っており、両氏はHLBCの共同議長を務める予定。協議項目としては特に、韓国における再処理のほか、原子力輸出の促進と管理協力、原子燃料供給とセキュリティの保証などを挙げた。また、改定版の原子力協定に明記したとおり、HLBCの下に4つのワーキング・グループを協議項目毎に設置するため、その組織構成と機能を設定。これらのグループは最初の職務として作業計画や付託条件書を作成し、第1回会合で提案することになった。

 1973年に締結された最初の米韓原子力協定では、米国から移転された核物質を韓国で再処理や濃縮することは許されておらず、2010年に始まった同協定の改定交渉で韓国は乾式再処理(パイロプロセシング)が可能になるよう米国と折衝。改定版では最終的に、両国が同再処理技術の研究結果に基づく協議を行った上で一定の推進活動の実施が許されており、韓国は再処理が将来的に実現する可能性を念頭に、協定の有効期間も20年間に短縮して交渉妥結に至った。今回の発表でシャーウッドランダル副長官は、米韓両国が原子力の民生利用分野で30年以上にわたって緊密に協力してきた事実に言及。HLBCの創設により、互恵的協力に基づく原子力安全の促進で両国がともに努力していくことが再確認されたとしている。