米国:2015年の年間安全性能評価で商業炉99基中96基が上位2つのカテゴリー

2016年3月8日

 米原子力規制委員会(NRC)は3月4日、全米で稼働する商業炉99基について2015年の年間安全性能評価結果を公表し、96基までが良好カテゴリーの上位2つに分類されたことを明らかにした。NRCが定期的に実施しているもので、評価結果は各発電所にも送付。この評価によって発電所の安全性を確保するのに加え、すべての関係者に同評価の根拠、および特定された安全性能上の不備に対するNRCの取り組みを明確に理解させることが目的だと説明している。

 良好カテゴリーの原子炉96基中、85基についてNRCは「安全性能上の目標を完全に満たしている」として、最良のカテゴリーに分類。これらの原子炉は、通常の「基本点検プログラム」で点検を行ったとした。残りの11基は、安全上の重要度が低い1~2項目について解決が必要と判断した原子炉で、追加点検と是正措置に対するフォロー・アップが行われることになる。11基のうち、デュアン・アーノルド、ミルストン3号機、およびサスケハナ1、2号機については、報告期間終了後に指摘された課題を解決したことから、分類評価を最良カテゴリーに変更した。

 3番目のカテゴリーには安全性能レベルの劣るものが分類されるが、今回は該当原子炉無し。第4カテゴリーと評価されたアーカンソー・ニュークリア・ワン原子力発電所1、2号機の場合は、安全上の重要度が高い2項目が指摘されたことから監視強化の対象となった。また、同じく第4カテゴリーのピルグリム原子力発電所については、安全上の重要度は低中レベルでも、長期的に未解決となっている課題の存在を指摘。それらへの取り組みを確認するため、NRCによる追加点検と管理上の注意強化が必要になるとしている。

NRCは年内にも、年間評価結果の詳細に関する公聴会その他のイベントを各原子力発電所の近隣で開催することになっている。