WH社:英国でのSMR原子炉容器製造で効率化調査実施へ

2016年3月10日

 東芝傘下のウェスチングハウス(WH)社は3月3日、英国で同社製小型モジュール炉(SMR)の原子炉圧力容器(RPV)を製造する最も効率的な方策を探るため、英国政府の「先進原子力機器製造研究センター(N-AMRC)」と提携したと発表した。N-AMRCは原子力大型機器の製造能力などサプライヤーの技術力や技術者資源を強化するため、政府が約30社のサプライヤー連合にシェフィールドの大学を加えて2012年に発足させた原子力機器製造研究所。今後、大幅な成長が見込まれる英国原子力市場で、WH社は大々的な事業拡大を狙っており、2015年10月には同社製SMRの共同開発を英国政府に提案した。SMR製造を実際に開始する時に備えて、機器を現地製造する潜在的なサプライヤーの特定などでN-AMRCの専門的知見を活用したい考えだ。

 今回の機器製造調査はRPVに特に焦点を当てており、安全上重要な大型機器の設計で広範な経験を持つN-AMRCは、専門的かつ独自の評価をWH社のSMR設計に提供する予定。最適な製造方法の特定についてもWH社に力を貸す事になる。また、資本コストを大幅に削減してプロジェクト全体の経費を節約するため、先進的な製造プロセスの中から効率的なものを割り出す計画。このような経費削減策を英国の原子力供給チェーン、およびWH社のSMR開発と組み合わせることで、英国原子力産業界では雇用創出と経済成長が促進されると強調した。

 WH社が開発中のSMRは電気出力22.5万kWの一体型PWRで、米国における標準設計の1つとするため、同社は設計認証(DC)審査を米原子力規制委員会(NRC)に申請する予定。英国での開発に関しては1月初旬、スプリングフィールドにあるWH社の燃料加工施設で、SMR用の燃料製造に必要な要件をすべてクリアしたと発表している。