ベルギー:ドール1、2号機の運転期間を10年延長するための法案が議会委員会を通過
ベルギーのM.マルゲム・エネルギー環境持続可能開発大臣は3月9日、ドール原子力発電所1、2号機(各46万kWのPWR)の運転期間を10年間延長する条件として年間2,000万ユーロ(約25億円)を一律課税する法案が議会の経済委員会で承認されたと発表した(=写真)。両炉は同国の脱原子力法が定める40年の運転期間を2015年に終えたが、国内の原子炉7基で総発電電力量の47%を賄っているという現状から、現政権が両炉の運転継続を決定。2015年6月に脱原子力法の一部修正法案を成立させていた。今回の議会委員会の承認により、両炉を2025年まで稼働させるための法的ハードルがまた1つクリアされた。両炉を長期的に運転していく際の技術的課題については、ベルギー連邦原子力規制局(FANC)が事業者であるエレクトラベル社に対し、運転再開前に優先的に実施すべき活動項目を追加条件として提示。同社からの実施報告書を審査した上で、「両炉の原子炉容器は健全な状態にあり、安全要件に合致している」との結論を昨年12月に発表した。このほかの条件として、昨年11月末にエレクトラベル社が政府と合意したのが新たな課税システムで、2016年から2025年まで毎年6月末までに2,000万ユーロを「エネルギー移行基金」に払い込むというもの。脱原子力を達成予定の2025年以降を見据えて、エネルギーの生産と貯蓄分野における研究開発の促進や革新的プロジェクトに活用される。エネルギー相によると、現在準備中の国王令の中で、同基金における諸条件や研究開発プロジェクトの選定条件などが検討中となっている。
なお、現地の報道によると、両炉およびベルギーの前政権が運転期間延長を決定していたチアンジュ1号機(PWR、100万kW)については隣国ドイツが懸念を表明しており、同国のノルトライン=ベストファーレン、およびラインラント=プファルツの両州はEUと国連への提訴を計画している模様。ベルギーは経年化した原子炉の運転期間延長を決める前に、越境環境影響評価に関する「エスポー条約」に基づいて、環境影響評価を行うべきだったと主張している。