英国:ECがヒンクリーポイントC計画におけるEDFエナジー社とCGNの提携を承認
英国サマセット州でヒンクリーポイントC原子力発電所(HPC)建設計画を進めているEDFエナジー社は3月10日、同計画における中国広核集団有限公司(CGN)との資本提携をECの独占禁止規制当局が承認したと発表した。2基の欧州加圧水型炉(EPR)建設で総額180億ポンド(約2兆9,200億円)を投資するという同計画に対し、CGNは33.5%の出資を約束する戦略的投資協定を2015年10月にEDFエナジー社と締結していた。同計画への最終投資判断についてEDFエナジー社は、「近く決定する」との見解を改めて提示したほか、英仏両国政府が最近、英国で20数年ぶりの新規原子力発電所となる同計画への支持を表明したと指摘。同計画は英国における後続の原子力発電所建設にもつながり、雇用や技術力などの点で大きな恩恵をもたらすと強調している。
昨年10月の協定では、CGNはEDFエナジー社が後続計画として検討しているサイズウェルC発電所計画にも20%出資するほか、ブラッドウェルB発電所計画では中国が独自ブランドの輸出用第3世代設計と位置付ける「華龍一号」を供給する予定。HPC計画は、中国が原子力先進国で資本参加する初の原子力発電所建設計画であるが、EC当局が調査した結果、両社の取引によって英国電力卸売市場の競争性が妨げられることはないとの結論に達した模様。理由として、同市場におけるEDFのシェアがわずかであるほか、CGNのシェアも非常に限られている点を挙げた。
なお、EDFエナジー社は同日、1月末に同社から米エンタジー社への転職を決めたC.ベイケン前HPC計画プロジェクト・マネージャーの書簡を公表し、HPC計画の経済性を保証する同氏の弁を紹介した。同社では3月6日にT.ピケマル最高財務責任者(CFO)が辞意を表明しており、メディアや経済アナリストらはHPC計画の経済的実行可能性の危うさについて取り沙汰した。EDFエナジー社はピケマルCFOの辞職理由を明らかにしていないが、米国人であるベイケン氏については、同氏が米国にいる家族との生活を考慮した点を明示。同氏は書簡の中で、「HPC計画には度重なる審査に持ちこたえただけの経済性があり、EDFエナジー社と中国側パートナーは建設リスクを引き受けている。HPCが発電を開始するまで顧客は1ペニーも支払う必要はなく、現在低迷中の電力卸売価格をHPC計画の行使価格と比べるのは不公平だ」と述べた。また、風が吹かず太陽が照っていない時でもHPCは電力供給が可能であり、その他すべての発電技術に対する競争力があるとの認識を示している。