EDFグループ会長:「対策講じればヒンクリーポイントC計画は実施可能」
事業費高騰による最終投資決定の遅れが取り沙汰されている英国のヒンクリーポイントC原子力発電所(HPC)建設計画について、事業者のEDFエナジー社は3月12日、同プロジェクトのリスク審査を行った結果、対策をすべて講じることでリスク克服が可能と判明し、建設計画を最終的には開始する自信を持てたとの見解を明らかにした。親会社であるEDF(フランス電力)グループのJ.-B.レビィ会長はその前日、この件に関するスタッフ宛ての書簡をウェブサイトに掲載しており、同社の財政状態が保証されるよう大株主であるフランス政府から言質を取り付ける協議を実施中だと説明した模様。そうした条件がすべて満たされるまでHPC計画を開始しないと述べたことが伝えられている。
EDFエナジー社によると、180億ポンド(約2兆9,000億円)という同プロジェクトの最終投資決定に先立ち、レビィ会長は2015年末に原子力分野の専門家であるY.デスカタ氏にHPCプロジェクトに伴うリスクに関する審査を依頼。デスカタ氏は同プロジェクトと関わりのないEDFの専門家5名から助力を受けつつ、独立の立場から同審査を実施したという。その結果として、「確かにどのようなプロジェクトにもリスクは付随するし、重要なのはそれらを制御することだ」と指摘。その上で、これまでにすでに特定され、対処中のもの以外に大きなリスクは見当たらず、そうしたリスクを一層減じる緩和策の強化は可能だとした。また、「それらのリスクは正確に特定されているため、我々の提案する対策をすべて実行すれば克服できる」と明言。このような状況およびリスク上の観点から、プロジェクトの開始は可能と判定したことを明らかにした。
こうした結果についてレビィ会長は、「独立の専門家による審査も含め、プロジェクトの契約面や商業的側面についても徹底的に調査した」と強調。提案された一連の対策をすべて講じることに決めたとしたほか、同様の規模のプロジェクトでは慣行として、その他のリスク分析調査もプロジェクト全体について実施すると表明した。スタッフに宛てた書簡は、T.ピケマル最高財務責任者(CFO)による辞意表明も含め、プロジェクトの先行きに対する不安の払拭を意図したものと見られており、同会長はEDFグループの財政状況が切迫していることを認めた上で「進退を決する価値のある問題だ」と述べた模様。同グループにとって良いプロジェクトだと確信していること、近い将来に同プロジェクトを開始する条件がすべて整うことも保証していたという。