IAEA:SMRの安全・許認可要件に関する規制者向けワークショップを初開催

2016年3月15日

アラブ諸国の加盟国を対象とした初回WS©O.Lockyer/IAEA

アラブ諸国の加盟国を対象とした初回WS©O.Lockyer/IAEA

 国際原子力機関(IAEA)は3月9日、小型モジュール炉(SMR)の安全性と許認可の要件に関する一連の規制者向けワークショップ(WS)を初めて、3月初頭から開始したと発表した。2020年代初頭にも先進的な新世代のSMRが認可を受けて、市場に出回り始めるとの見通しから、加盟国の規制当局が適切な準備を行えるよう支援するのが目的。ウィーンで実施した初回のWSは、アラブ原子力エネルギー機関(AAEA)とアラブ原子力規制者ネットワーク(ANNuR)の参加者が対象だったが、6月に実施する次回のWSはアフリカ原子力規制者団体フォーラム(FNRBA)のメンバーが対象になるとした。また、今後数年間にさらなる支援も調整していく方針で、これには施設の型式や大きさに応じた要件設定に関する包括的な安全関連ガイダンスの作成が含まれるとしている。

 IAEAによると、世界では現在50ものSMR設計が様々な用途のために開発中となっており、4設計についてはすでに建設段階にある。具体的には、アルゼンチンの独自技術による「CAREM-25」、ロシアの海上浮上式原子炉「KLT-40S」と「RITM-200」、および中国が開発中の高温ガス炉「HTR-PM」で、このほかにサウジアラビアが2015年9月、韓国原子力研究所(KAERI)の設計した「SMART」炉の導入で協力協定を締結した事実に言及した。

 米原子力規制委員会(NRC)が後援する今回のWSは、SMRに関する国内の安全・技術インフラ設置に向け、規制当局や事業者および政府機関を一致団結させたとIAEAは強調。SMRの設計、立地、運転に関する承認も含め、規制当局の役割と許認可要件に関する詳細情報が参加者に提供されたとした。また、IAEA安全基準の活用、および国内規制への盛り込みで必要な変更については、規制者同士で議論する場も設けたとしている。