スウェーデン規制当局:使用済み燃料封入施設の立地・建設審査で肯定的評価

2016年3月24日

CLINKの内部構造図©SKB

       CLINKの内部構造図©SKB

 スウェーデン放射線安全庁(SSM)は3月23日、最終処分前の使用済み燃料を銅製キャニスターに封入する施設の立地・建設許可審査で、「事業者は安全性と放射線防護に関する要件をすべて満たし得る」と評価したことを明らかにした。スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)が2011年に提出していた申請書について暫定的な評価結果を示したもの。この封入施設は最終処分場を建設する計画の一部であり、SKBは同時に最終処分場そのものについても立地・建設許可を申請。同処分場の立地と建設に関しては、SSMが2015年中に2回、安全性やサイト選定プロセスについて好意的な審査結果を暫定的に公表していた。封入施設に対する今回の評価により、12,000トンの使用済み燃料をエストハンマルのフォルスマルク原子力発電所隣接区域で、地下500mの岩盤中に処分するという計画は、2020年代初頭の着工と、その10年後の操業開始を目指してまた一歩前進したことになる。

 スウェーデンでは現在、既存原子炉10基で発生した使用済み燃料約6,000トンをオスカーシャム原子力発電所の集中中間貯蔵施設(CLAB)に湿式貯蔵している。すでに閉鎖済みの2基分も含め、既存炉が閉鎖されるまでに排出される使用済み燃料をすべて一時的に貯蔵するため、SKBはCLABの容量を現在の8,000トンから11,000トンに拡張する施設と、キャニスターへの使用済み燃料封入施設をCLABの隣接区域に建設する計画。これらを統合した施設全体を「CLINK」と呼称している。

 SKBの立地・建設許可申請書は、SSMと国土環境裁判所がそれぞれ、原子力法と環境法に基づいて審査中で、SSMは今回、SKBには要件を満たしつつ封入施設を建設・操業し、CLABで一層多くの使用済み燃料を貯蔵するだけの潜在的能力があると判断。もし政府がSKBに同施設の建設を許可した場合、SKBはさらに詳細な安全報告書の作成など、後続の手続を踏まねばならないとした。また現在までのところ、CLINKの審査は封入施設そのものについてだけであり、ベントナイトや鋳鉄を組み合わせた銅製キャニスターへの封入方式(KBS-3)はカバーしていない。この封入方式や最終処分場の長期的な安全性の評価結果については、数か月後に環境裁判所へ意見を提出する際に公表すると述べた。

 封入施設と最終処分場の立地と建設に関する最終見解は2017年にも政府に提示予定だが、SSMはその前に諮問機関や公聴会から聴取したコメントも報告書に反映させる方針。政府はSSMと環境裁判所の見解を元に、施設の建設を承認するか最終的な判断を下すことになる。