米国:ザイオン原子力発電所の廃止措置で大型機器の撤去が完了
米国で原子力関連施設の廃止措置や除染事業を展開しているエナジーソリューションズ社は3月29日、シカゴ北部で1990年代後半に閉鎖されたザイオン原子力発電所で、大型機器の撤去が無事に完了したとした。閉鎖後、同発電所ではエナジーソリューションズ社の子会社であるザイオンソリューションズ社が2010年から廃止措置作業を実施中。2020年の除染完了を目指して作業が大きく進展したと強調している。エクセロン社が所有するザイオン発電所では、108.5万kWのPWRが2基、約25年間稼働。撤去済みとなったのは蒸気発生器(SG)や加圧器、配管機器、原子炉冷却ポンプ、およびモーター類で、すでにこれらの搬出と最終処分の準備も完了した。ザイオンソリューションズ社では、2基の原子炉が同時に解体されたのは米国の原子力産業史上初のことだと指摘。作業は最も厳しい産業基準や放射線安全基準に則り、環境への影響もなく安全に行われたとした。また、大型機器の撤去により、同発電所の汚染構造物の98%以上が取り除かれたことになると明言。それらは安全に処分するか、もしくはサイト内の乾式貯蔵施設に保管することになると説明した。
米国では原子力発電所の廃止措置に3つの選択肢があり、(1)運転停止後、直ちに機器や設備の放射能を除去する「DECON」、(2)設備の汚染構造物を一定期間、安全に貯蔵し、将来的な解体と除染を行う「SAFSTOR」、(3)放射化した構造物やシステム、機器を遮へい隔離する「ENTOMB」--となっている。これまでに原子炉11基で廃止措置が完了し、一切の制約なくサイト利用が可能な状態に戻されたほか、ザイオン発電所の2基を含む4基でDECON作業が進展中。14基が15~41年間のSAFSTOR状態に入っている。米原子力規制委員会(NRC)のS.バーンズ委員長は2015年4月に来日した際、1990年代に廃止措置が完了したコネチカットヤンキーとメーンヤンキーの両原子力発電所について、両サイトでは利用制限が解除されているものの放射能レベルがゼロでないという事実に言及。検出可能なレベルの放射線は存在するが、25ミリレム/年という国の許容被ばく線量を満たしており、「合理的に達成できる限り低く(ALARA)」の原則に基づく措置だと説明していた。