英社と中国企業が高温ガス炉開発で協力覚書
英国を本拠地とするエネルギー関連エンジニアリング企業のAMECフォスターウィーラー社は4月6日、中国の原子炉建設会社である中国核工業建設集団公司(CNEC)と高温ガス炉(HTR)の共同開発に道を拓く協力覚書を締結したと発表した。英国その他の国におけるHTR建設を念頭に、原子力発電の幅広い分野で協力していく考え。中国では主力の輸出用第3世代PWR設計である「華龍一号」のみならず、脱塩や熱電併給など多目的利用が可能で固有の安全性を有する第4世代のHTRも有力な輸出用設計と位置付けており、AMECフォスターウィーラー社との協力を通じて、HTR輸出の可能性を探ると見られている。今回の覚書は、英国政府の対英投資促進部門である貿易投資総省(UKTI)と中英貿易協会(CBBC)による原子力産業貿易ミッションが北京を訪問したのを機に調印された。両社は今後、世界中で原子力発電所の設計、建設、運転、廃止措置プロジェクトに携わる機会を共同で模索。既存炉の定検時管理や運転、経年化管理、運転期間延長、および改修の各分野についても、有益な専門的知見を特定するとした。また、人材育成、廃棄物管理、廃止措置も協力範囲に含まれるとしている。
CNECは、中国におけるHTRの研究開発主体である清華大学と協力関係にあり、同大の研究院ではすでに、熱出力1万kWの実験炉が2003年から稼働中。現在は電気出力20万kWの実証炉を山東省石島湾で建設しているほか、60万kW級の商用HTRについても江西省瑞金市で建設する計画を進めている。今回の覚書により、AMECフォスターウィーラー社の新しい高温施設を利用して、1,000度Cの高温に耐えうる物質の研究や試験が可能になる見通しだ。
なお、同じ貿易ミッションに参加していた英国のロールス・ロイス社も同日、中国核工業集団公司(CNNC)と民生用原子力分野における戦略的協力強化で契約を締結したと発表した。両社の協力関係は2014年6月に始まっており、今回の契約では人材育成も含めたコンサルタント・サービスや特定のエンジニアリングをロールス・ロイス社側からCNNCに提供することになる。