ロシアの国営原子力企業:ドバイに中東・北アフリカ地域の本部事務所を開設
ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は4月4日、中東・北アフリカ地域における同社の本部となる地域事務所をアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに開設したと発表した。中東地域の関連企業と協力関係を構築していくのが狙いで、同社が現在進行中のプロジェクトに新たな推進力が生まれるのみならず、非原子力分野も含めて、これら地域で互恵的なプロジェクトを進める新たな機会が開かれるとしている。
この発表は、世界原子力協会(WNA)と米原子力エネルギー協会(NEI)主催の世界原子燃料サイクル会議が4日~6日に、UAEのアブダビで開催されたのに合わせて行われた。ロスアトム国際ネットワーク社のA.メルテン社長によると、ロスアトム社には1960年代から同地域の研究炉開発プロジェクトなどで協力実績がある。現在も、放射性同位体や天然ウランおよび濃縮ウランの供給、放射性廃棄物管理、原子炉建設などの大型プロジェクトを進めていると強調した。
ロシアは中東・北アフリカ地域でこれまでに、イランのブシェール原子力発電所1号機建設に協力したほか、同サイトでの2基増設とその他の複数サイトで6基建設する可能性を明記した議定書を2013年に同国と締結。トルコではアックユ原子力発電所として4基のロシア型PWR(VVER)を建設する計画を受注した。また、エジプト初の原子力発電所建設計画に120万kW級VVERを4基供給するため、2015年11月に同国と政府間協定を結んだ。さらに、今後20年間に1,800万kWの原子力発電設備導入を目指すサウジアラビアとは、2015年6月に原子力平和利用協力協定に仮調印している。