英国の機器製造調査:WH社製SMR機器の現地製造能力を保証
英国の先進原子力機器製造研究センター(N-AMRC)は4月15日、ウェスチングハウス(WH)社製の小型モジュール炉(SMR)について3月から実施していた原子炉圧力容器(RPV)(=図)の製造能力調査で、英国にはこのような重要システムを国内で効率的に製造することが可能との結果が出たと発表した。英国政府は今年3月、英国にとって最適な価値を有するSMR設計を特定するため、その第一段階としてSMRの開発と商業化および資金調達に対する市場の関心調査を開始。開発企業や電気事業者、潜在的な投資家などから関心表明を募り、5月末には選定基準を満たしたSMR設計を確定する方針であることから、今回の調査結果は少なからず影響すると見られている。N-AMRCは大型機器の製造能力などの技術力や優秀な技術者も含めて、英国における原子力サプライ・チェーンの再開発・強化を目的に、2012年に政府が原子力産業界および複数の大学と連携して設立した技術開発支援機関。今回の調査は産官学の広範な知見と安全上重要な大型機器の設計に関する経験を活かして実施したとしており、英国の先進的な製造技術を活用すれば、WH社製SMRの建設でリードタイムの50%削減とコストの大幅な削減が可能だとした。また、英国の強力なサプライ・チェーンとWH社のSMR技術開発意欲により、英国原子力産業界における経済成長と雇用創出が促進されると明言した。特に、スプリングフィールドにあるWH社の原子燃料製造施設は1,000人以上を雇用するなど英国にとって戦略的資産のようなものだと指摘。ここではSMR用燃料の製造も可能だが、これはその他のSMR技術の提案企業にはできないことだと強調した。
WH社のJ.ベンジャミン上級副社長は今回、WH社製SMRのRPV製造に必要な鋼材や鍛造工場、加工機械を英国内で調達し、組み立てることが可能と判明したことは大きな成果だとコメント。昨年10月に英国政府に対して行ったSMR共同開発のオファーも、こうした能力に基づいているとした。また、同社には独自のサプライ・チェーンと機器製造を英国で現地化する能力と革新的な手法があり、それらは英国における同社のSMR開発意志を一層保証することになるとしている。