仏EDFがスウェーデンのスタズビック社から低レベル廃棄物処理部門を買収
スウェーデンの放射性廃棄物処理専門業者であるスタズビック社は4月20日、スウェーデンと英国における同社の低レベル放射性廃棄物(LLW)処理事業と施設をフランス電力(EDF)の関連子会社に売却することで両者が合意したと発表した。欧州では今後、スウェーデンや英国、ドイツなどで原子力発電所の廃止措置需要が見込まれることから、EDFは廃棄物処理の専門子会社であるSOCODEI社の既存能力にスタズビック社の資産を加えて、LLWの処理設備を増強。廃止措置と放射性廃棄物管理で一層広範なサービスを提供していくなど、欧州市場におけるプレゼンス強化を目指す。
一方のスタズビック社は、2014年に米国の放射性廃棄物処理事業を売却したほか、2015年に事業の売却による収益が1億7,400万クローナ(約23億5,000万円)に到達。財務状況を改善することで一層安定した企業となり、廃止措置の準備を進めている国や原子力市場が拡大中のアジア、中東地域でのコンサルティング事業や、燃料と核物質技術の開発に集中するとしている。負債を含めない両者間の取引価格は3億5,500万クローナ(約48億円)で、スタズビック社には約2億2,500万クローナ(約30億円)のキャッシュフロー効果と1億1,500万クローナ(約15億5,000万円)の純利益がもたらされる見通し。買収手続の完了は、関係当局の承認や許可取得を経て今年の第3四半期を予定している。
EDFがスタズビック社から買収する施設は、スウェーデンのニシェーピン近郊にある金属リサイクルと焼却および熱分解などの施設に加えて、英国のワーキントン近郊にある金属リサイクル施設(MRF)など。両者はまた、この取引の一環として廃止措置と放射性廃棄物管理分野で協力していく契約にも調印した。この分野でベンチマーク的事業者になることを目標に、両者の専門的知見を蓄えるとともに、顧客サービスへの付加価値拡大を目指した協力活動を行うことになる。