米クリントン原子力発電所:当面2017年半ばまでの運転継続が確定
米イリノイ州でクリントン原子力発電所(BWR、107.7万kW)を運転するエクセロン社は4月14日、同州の発電設備をカバーする電力プールの「2016~2017年用容量オークション」により、同発電所を少なくとも2017年5月末まで継続運転することが確定したと発表した。エクセロン社は昨年10月、同発電所の早期閉鎖に関する判断を1年間、先送りすると表明。しかし、同発電所では引き続き赤字経営が続いており、電力市場とエネルギー政策の両方で、すべての無炭素電源が平等に扱われるとともに原子力発電の環境面、経済面、信頼面、価格安定面における利点が認識されるような改革が早急に行われなければ、早期閉鎖は免れないとの認識を明らかにした。同発電所の将来的な運転に関する判断は、今年中に発表するとしている。
米国では数州をカバーする独立の系統運用機関(ISO)や地域送電機関(RTO)が存在し、電力プール全体の適正予備率を決定した上で、小売り業者に代わってプールに必要な発電容量を確保。実運用年の3年前から制御エリア内の既存電源で容量オークションを4回実施し、容量を購入している。エクセロン社によると、イリノイ州を制御エリアとする「中西部独立系統運用機関(MISO)」は昨年、電力卸売市場で構造改革を実施する必要性に言及したという。このため、原子力発電事業者に経済的恩恵がもたらされる可能性に期待して、クリントン発電所の早期閉鎖判断を先送りしていた。同社は現在も、クリーン・エネルギーと次世代送電網の開発促進を目指した包括的エネルギー法制を州内で策定するため、州政府議員その他のステークホルダーと協議中だと強調。州政府が実施した分析では、クリントン発電所の閉鎖により供給地域のエネルギー卸売価格は2億3,600万ドル増えて、年間3億4,100万ドルになるとの結果が出たと指摘した。