EU:チェルノブイリ発電所の廃止措置などに2,000万ユーロの追加支援
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は4月26日、チェルノブイリ原子力発電所で1~3号機の廃止措置等を安全に実施するための追加支援として、先進7か国(G7)とECの合計で提案予定の4,500万ユーロ(約56億円)のうち2,000万ユーロ(約25億円)をECが拠出すると発表した。チェルノブイリ事故後30年が経過したのを契機に、これら3基用の廃棄物管理施設建設で活用されている「原子力安全支援基金(NSA)」にさらに貢献すると約束したもので、この前日にウクライナのキエフで開催された「NSA誓約会議」でも、ECはこの方針を表明した模様。EU加盟国はこれまでも、チェルノブイリ事故の後始末に対する国際的支援の先頭に立ってきたが、今後も関連プロジェクトが成功裏に完結するよう一層協力していきたいとしている。
欧州復興開発銀行(EBRD)が管理するNSAは元々、旧ソ連製原子力発電所を運転する中・東欧諸国向け安全支援策として1993年にG7が創設した。1998年以降は主にウクライナで、1991年から2000年までに廃止されたチェルノブイリ1~3号機の廃止措置に必要な使用済み燃料中間貯蔵施設(ISF-2)と液体放射性廃棄物処理施設(LRTP)の建設に取り組んでおり、ISF-2建設サイトでは昨年11月にキャニスターの試験用の10台が到着。2017年にも完成すると見込まれている。事故を起こした4号機については、老朽化した石棺を覆うとともに最終的な廃止措置作業が可能になる新しい閉じ込め構造物「シェルター」を建設するため、「チェルノブイリ・シェルター基金」が1997年にEBRD内で設置され、EU加盟国は主要な資金提供者として4億3,000万ユーロ(約537億円)を拠出した。ウクライナと直接国境を接する国々に放射性物質が飛散するのを防ぐだけでなく、同サイトを環境上安全かつ安定した状態とするのが目的で、こちらも2017年に完成する見通しとなっている。ECの発表によると、1986年のチェルノブイリ事故と1990年代初頭のソ連崩壊後、旧ソ連の新独立国家における原子力発電所の安全性改善で、ECは国際パートナーとともに巨額の原子力安全プログラムを始動させた。チェルノブイリ発電所関係の支援プロジェクトだけで、ECはすでに5億5,000万ユーロ(約657億円)を供給済みだが、この額を含めて拠出を約束した総額は7億3,000万ユーロ(約912億円)に到達。内訳を次のように説明した。すなわち、(1)支援プロジェクト用の5億5,000万ユーロのうち4億7,000万ユーロ(約587億円)を国際基金を通じて拠出する一方、8,000万ユーロ(約100億円)はECが直接拠出、(2)発電部門の改革支援に6,500万ユーロ(約81億円)、(3)関連の社会的課題に取り組むプロジェクトに1,500万ユーロ(約18億7,000万円)、(4)研究プロジェクトに1億ユーロ(約125億円)--となっている。