中国:CAP1400設計がIAEAの安全審査を完了
中国の上海核工程研究設計院(SNERDI)は5月5日、ウェスチングハウス(WH)社製AP1000設計をベースに、中国が知的所有権を保有する140万kW級の第3世代PWR設計として開発した「CAP1400」が国際原子力機関(IAEA)の一般原子炉安全レビュー(GRSR)を成功裏に完了したと発表した。GRSRはIAEAの専門家チームが加盟国からの要請により、認可段階に達していない新設計の安全保証文書(セーフティケース)についてIAEA安全基準などとの適合性を初期評価するサービス。CAP1400のGRSR最終評価報告書は4月27日、IAEAのJ.C.レンティッホ原子力安全・セキュリティ担当次長から中国側に手渡された(=写真)。同設計の安全性に関して国際的な権威当局から一定の評価が得られたとして、SNERDIでは同設計をレベルの高い国際競争に参加させる盤石な基盤が築かれたとしている。しかし、GRSRは設計認証や許認可手続の類とは性質が異なるため、輸出に際しては導入国それぞれの安全基準や要件をクリアする必要がある。中国国内では山東省の栄成で実証炉プロジェクトが進められており、すでに2015年4月にタービン建屋部分のコンクリート打設を実施。原子炉建屋部分の打設については最終承認待ちだと伝えられている。SNERDIは、諸外国の第3世代原子炉技術の導入・国産化を担当している中国国家核電技術公司(SNPTC)の傘下組織。SNPTCは受動的安全系を有するAP1000設計に基づいて、中国の法規と基準に適合させた中国版標準設計「CAP1000」の詳細設計を2013年に完了した。これを140万kWにスケールアップしたCAP1400は「華龍一号」とともに中国ブランドの輸出用第3世代設計と位置付けられており、2014年9月に中国の規制当局である国家核安全局(NNSA)がその予備的安全解析報告書(PSAR)を正式承認済みである。
同設計のGRSR審査については、2015年7月にSNERDIがIAEAと実施協定に調印。その後10か月近くを費やして、IAEAの上級専門家チームがIAEAの最新安全基準と要件、福島第一原子力発電所事故の教訓などに照らしてPSARの完成度や包括性を審査した。中国はすでに、中国核工業集団公司(CNNC)の開発した100万kW級PWR「ACP1000」、および10万kW級の小型PWR「ACP100」についてもGRSRを実施している。