米エクセロン社:クリントン、クアド・シティーズ両原子力発電所の早期閉鎖を検討
米国最大の原子力発電事業者であるエクセロン社は5月6日、イリノイ州で運転するクリントン(BWR、107.7万kW)、クアド・シティーズ(91.2万kWのBWR×2基)の両原子力発電所を、それぞれ2017年6月1日と2018年6月1日付けで早期閉鎖する可能性があると発表した。州内エネルギー市場の構造的な欠陥により、両発電所では近年、採算性が大きく悪化。こうした構造を是正する適切な法制が5月31日までに州議会で成立しなかった場合、両発電所の早期閉鎖計画を進める必要があるとしたほか、クアド・シティーズでは今月後半に開催される電力プールの容量オークションについてもクリアしなければならないとしている。
エクセロン社は過去数年間にわたってイリノイ州の政策立案者などに対し、原子力では信頼性の高い低炭素な発電が毎日24時間可能であるという重要な事実を伝え続けてきた。それに対して両発電所を温存すべきだと主張していた地元コミュニティのリーダーや労組幹部、実業家らには、そうした広範な支援への謝意を表明。同社はまた昨年秋、エネルギー市場と法制の改革について熟慮する猶予を政策立案者に与えるため、これら2原子力発電所の早期閉鎖判断を1年間先送りすると発表していた。しかし、その後もエネルギー価格は下落し続け、稼働率の高い両発電所でも過去6年間の合計損失は8億ドル以上にのぼったという。州政府の分析調査によると、両発電所の閉鎖から4年以内に州内で約4,200名分の雇用と12億ドル分の経済活動が失われると予想され、エクセロン社は特に、地元コミュニティの経済に深刻な悪影響が及ぶことを憂慮。両発電所の合計従業員約1,500名については、閉鎖後半年以内に処遇を特定するとしており、具体的には同社が所有する他の11の原子力施設や他部門への異動も検討。地元コミュニティとは共同でこうした移行への準備を進めると述べた。
現地の報道によると、エクセロン社が支持する修正法案を州の上院議員が5日付けで州議会に提案。この中では州内の低炭素電源に対し、運転コストと市場収益の差額を「炭素ゼロ・クレジット」の形で補填するシステムが盛りこまれたと伝えられている。