仏EDF:当初予算の枠内でヒンクリーポイントC計画 実行へ
子会社のEDFエナジー社を通じて、英国で約20年ぶりとなるヒンクリーポイントC原子力発電所(HPC)建設計画を進めているフランス電力(EDF)は5月12日、これまで繰り返し公言していた通り、同計画で予定している総工費180億ポンド(約2兆8,000億円)に変更はなく、予算内でスケジュール通り計画を実行すると明言した。現地の報道によると、EDFは同日の年次総会直前、「偶発的出資リスク等へのマージンを含めて、出資会社であるEDFエナジー社と中国広核集団有限公司(CGN)はそれぞれ、138億ポンド(約2兆1,700億円)と69億ポンド(約1兆1,000億円)の出資を確約する」と発表した模様。これらの合計が約210億ポンド(約3兆3,000億円)に達することから、複数のメディアはこぞって「HPC計画の総コストが30億ポンド(約4,700億円)も超過」と報じた。EDFの今回の説明では、追加資本分は全体の15%にあたる27億ポンド(約4,200億円)だが、これに手を付ける予定は無く、通常の建設プロジェクトと同様、極端な偶発的事象に備えて一般的かつ慎重な慣行を踏襲したまでだとしている。
EDFはこのほか、昨年10月にEDFエナジー社とCGNがHPC計画の戦略的投資協定を締結して以降、両者間の順調な協議により契約文書の作成が完成に近づいたと強調。CGNとの協同活動実施については、欧州と中国双方の関連規制当局から今年3月と4月に承認が得られており、機器の主要サプライヤーである仏アレバ社やGE/アルストム社との契約についても調印準備が整ったとした。同社はまた、年次総会前の発表の中で、2基の160万kW級欧州加圧水型炉(EPR)のうち、初号機の完成は最終投資判断(FID)を下してから115か月後になると述べた模様。この関連で、EDFはレビィ会長の意向により、HPC計画の資金調達面に懸念を表明しているフランスの3労組の連合団体(CCE)と5月2日から協議を開始した。5月9日にも最初の情報連絡会が開催されるが、2か月間の協議後にCCEが見解表明し、FIDが下されるのは9月になるとの見方がある。このため、初号機の完成は昨年10月時点のスケジュールからまた1年遅れて、2026年になる計算だ。