米TVA:テネシー州クリンチリバーでSMRの事前サイト許可申請

2016年5月17日

 米国のテネシー峡谷開発公社(TVA)は5月13日、テネシー州オークリッジ近郊のクリンチリバー・サイトについて、小型モジュール炉(SMR)の将来的な建設と運転を想定した事前サイト許可(ESP)審査を申請した。SMR用にESPが米原子力規制委員会(NRC)に申請された例としては初めてとなる。発表文は具体的な採用設計に触れていないが、TVAは2013年2月、電気出力18万kWのSMR設計「mPower」を将来、クリンチリバーで建設する認可申請の準備作業について、開発会社であるバブコック&ウィルコックス(B&W)mPower社と契約を締結。最終的な建設判断を下すにはさらに数年を要するとしているが、ESP申請により同公社は、広さ約5平方kmのクリンチリバー・サイトで「mPower」を始めとする次世代原子炉を建設した場合の安全性や環境影響、および緊急時計画に関する要件審査を受けることになる。

 米国では現在、電気出力30万kWまでのSMR製造を通じて米国が低炭素な次世代エネルギー技術の開発におけるリーダーシップを握り、国内原子力産業を復活させるとの方針を連邦政府が推進している。米エネルギー省(DOE)は2012年、民間企業とのコスト折半により米国初のSMR初号機のエンジニアリング、設計認証および許認可を支援するため、4億5,000万ドルを拠出するプログラムの実施を発表。2020年代初頭までに商業化を目指す対象設計として、B&W mPower社の「mPower」とニュースケール社のSMR設計を選定した。

 TVAの認識としては、一層クリーンでエネルギー源の多様化にもつながるSMRは、TVAの顧客住民900万人に対してエネルギー供給と環境および経済の開発ミッションを果たしていく上で重要な役割を担う。今回のESP申請によって同社はSMR開発において産業界のリーダー的地位に躍り出たとし、今後も安全かつ信頼性のあるエネルギー供給保証の1手段として、SMR開発を継続するとの抱負を述べた。また、今回の申請、およびこれに続く審査作業や承認プロセスについては、TVAがDOEと結んだ機関間合意に基づき共同で資金供給が行われると明言。DOEの主要な戦略目標である「米国市場へのSMRの導入加速」に沿ったものであるとの見解を示した。