仏規制当局が英国側に通達、アレバ社製機器の品質証明書に不正の疑いあり
英原子力規制局(ONR)の5月13日付け発表によると、仏原子力安全規制当局(ASN)とフランス電力(EDF)はアレバ社傘下のクルーゾー・フォルジュ社で製造された原子力鋳鍛造機器の品質証明書に製造記録の不一致や記載漏れ、および改変といった不正の存在する可能性があるとONRに通達してきた。英国では、約20年ぶりの新設計画としてEDFエナジー社が進めているヒンクリーポイントC原子力発電所建設計画にアレバ社製の機器を調達する予定。また、英国唯一のPWRとして稼働中のサイズウェルB原子力発電所にも、クルーゾー社製の原子力機器が少数使用されているが、ONRとしては、アレバ社が不正の詳細と影響に関する分析評価の結果を今月末までに連絡してくるのを待つ方針。英国で具体的に介入する必要性があるかは、同社の結論から決めたいとしており、計画停止中のサイズウェルBに再稼働の許可を出す前に、機器の健全性を確認する考えだ。
2015年4月、フランスではフラマンビル原子力発電所で建設中の3号機(160万kW級EPR)で原子炉容器(RV)に異常が見つかったのを受けて、アレバ社は同RVを製造したクルーゾー社で品質検査プロセスの審査を開始した。その結果は同年10月にASNに提出されたが、ASNはこの審査が2010年以降の記録のみを対象とした表面的なものであり、クルーゾー社の安全文化や製造品の品質が十分把握されていないと指摘。少なくとも、EPR用に最初の機器が製造された2004年まで遡って調べるよう、2015年末にアレバ社に指示していた。
ASNの5月4日の発表では、アレバ社は追加で実施した分析の初期結果を4月25日にASNに報告。クルーゾー社で1965年以降に製造された約400点の原子力部品で品質証明書に不正が認められたほか、このうち約50点はフランス国内の原子力発電所で使用されていることが判明した。これらの不正が製造パラメータや試験結果に関する製造記録の不一致、記載漏れ、および改変などであったことから、ASNは関係する部品のリスト、および発電所の安全性に対する影響の評価結果を出来るだけ早急に提出するよう同社に要求したとしている。なお、アレバ社は4月29日の発表の中で、追加分析の初期結果を精査するためにEDFとともに技術委員会を設置したと表明。現段階では、部品の機械的健全性を危うくするような情報は出てきていないと明言した。