米規制委、ニュージャージー州の建設用地に事前サイト許可 発給

2016年5月19日

 米原子力規制委員会(NRC)は5月5日、ニュージャージー州セーレム郡にある原子力発電所建設用地に事前サイト許可(ESP)を発給した。5月16日付けの連邦官報に正式な決定記録を掲載したもので、これにより原子力発電所を建設した場合の同用地の安全面および環境影響面での適合性が承認されたことになる。ただし現地の報道によると、申請者であるパブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PSEG)には今のところ同用地で原子力発電所を直ちに建設する計画はなく、2036年5月まで20年間のESP有効期間中、採用設計の選択や建設・運転一括認可(COL)申請など、将来的な新設オプションを維持すると述べるにとどまった。

 今回、ESPが発給されたのはセーレム郡にあるセーレムとホープクリークの両原子力発電所の隣接区域で、PSEGパワー社とその原子力発電子会社が2010年にESPを申請していた。NRCスタッフが2015年9月と11月に、最終安全評価報告書(FSER)と最終環境影響声明書(FEIS)をそれぞれ発行した後、NRCの原子力安全・許認可会議(ASLB)が手続要件の公聴会を開催。今年4月28日にASLBは、ESPの発給をNRCに勧告していた。

 ESPを取得する主な狙いは、電力会社が原子炉新設計画への資金投入を決断する前にサイト特有の安全性や環境影響、緊急時計画についてNRCから事前承認を得ること。ESP取得後にCOLを申請した場合、サイト関係の審査時間の短縮が可能になる。任意の手続であるため、ESPを通さず直接COL審査を受ける際には、ESP審査と同等の情報をNRCに提出することになる。これまでに、イリノイ州のクリントン、ミシシッピー州のグランドガルフ、バージニア州のノースアナ、ジョージア州のA.W.ボーグルの各サイトでESPが発給されている。